▲韓東勲検事長(左)と丁珍雄次長検事

 「チャンネルA事件」に関連し、韓東勲(ハン・ドンフン)検事長に対する「暴行家宅捜索」に及んだとして、ソウル高検の監察と捜査を受けた丁珍雄(チョン・ジンウン)光州地検次長検事が「涜職(とくしょく)暴行」の罪で27日までに起訴された。

 「涜職暴行罪」は検察や警察が職権を乱用し、逮捕、監禁、暴行に及んだ場合に適用される。国家権力から市民を守るという立法趣旨によって、通常の暴行罪よりも刑が重い。有罪となった場合、罰金刑はなく、5年以下の懲役が言い渡される。金槿泰(キム・グンテ)元国会議員を拷問したイ・グンアン元警監(警部に相当)の事件では、涜職暴行罪に他の罪が加わり、懲役7年の判決を受けた。

 ソウル高検が韓検事長を暴行したとして、涜職暴行罪で丁次長検事を在宅起訴したのは、韓検事長が丁次長検事を涜職暴行の疑いで捜査するよう求める告訴状と監察要求書を提出してから3カ月後のことだった。

 丁次長検事はソウル中央地検刑事1部長に在職していた今年7月29日、チャンネルAのイ・ドンジェ元記者の強要未遂容疑に関連し、韓検事長の携帯電話のSIMカードを押収しようとして、韓検事長の腕と肩をつかみ、ソファーの下に押さえつけ、全治3週間のけがを負わせた疑い。

 ソウル高検が丁次長検事を監察中、被疑者扱いに切り替え、起訴まで持ち込んだのは、当時家宅捜索に投入された検事や検察職員が「丁次長検事が韓検事長に物理的な力を行使したのは事実」だという趣旨で証言したことが決定的理由とされる。

 家宅捜索5日間の今年7月24日、外部の専門家で構成される検察捜査審議委員会は、韓検事長に対する捜査を中断し、不起訴とするよう勧告したが、李盛潤(イ・ソンユン)ソウル中央地検長は家宅捜索を強行した。「暴行」論争が起きると、ソウル中央地検は当時、「韓検事長が物理的に家宅捜索を妨害し、丁次長検事が負傷した」とし、家宅捜索直後い病院に入院した写真を公開。韓検事長が公務執行を妨害したという趣旨の主張を行った。

 チャンネルA事件の捜査を担当した丁次長検事が涜職暴行罪で起訴されたことで、事件に関する捜査指揮権を発動した秋美愛(チュ・ミエ)法務部長官、検察捜査審議委員会による捜査中断・不起訴勧告を無視し、家宅捜索を指示した李盛潤地検長は、無理な捜査を強行したという批判を避けられないとみられる。

 丁次長検事に対するソウル高検監察部の捜査は3カ月近くを要した。丁次長検事は「韓検事長に対する捜査が進行中」という理由で召喚に応じず、先月になってようやく聴取を受けた。李盛潤地検長も当時、金栄大(キム・ヨンデ)ソウル高検長を訪ね、「監察延期」を求めたことから、監察妨害ではないかと論議を呼んだ。今年8月の検察中堅幹部異動では、ソウル高検監察部の検事全員が辞表を提出するか左遷されたため、監察部が空中分解した。

 丁次長検事は「起訴は承服できない。今後裁判で当時の職務執行行為の正当性を積極的に主張する予定だ」とコメントした。

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