韓国とオーストラリアには似た点が多い。両国はシンガポール式の「良い統治(グッドガバナンス)」から北朝鮮式の全体主義までさまざまな統治方式が混在する地域で自由民主主義を謳歌している。両国とも世界で重要な位置を占める「中堅強国」であり、韓国は開発途上国支援や平和奉仕団などの分野で、オーストラリアはテロとの戦いで重要な役割を果たしている。いずれも五輪を開催し、国民がスポーツに深い愛情を抱いている点も似ている。しかし、急浮上する中国に対する態度は劇的に異なる。

 韓国とオーストラリアは半世紀以上、米国の重要な安全保障パートナーだった。6・25戦争以降、あらゆる戦争で米国と共に血を流した。このように安全保障分野では依然米国が両国の保証人の役割を果たしているが、経済分野では中国が重要なパートナーに成長した。2004年に中国が米国を抜き、両国の貿易相手国トップとなった。中国は貿易への依存を武器に影響力を拡大している。16年には韓国が終末高高度防衛ミサイル(THAAD)配備を推進したことに対し厳しい経済報復を行い、オーストラリアが新型コロナウイルスに関する徹底した調査を主張すると、オーストラリア産小麦に80%の関税をかけ、牛肉輸入も禁止した。

 中国がこうした行動を取る場合、経済的利害関係と同盟、脅威などが似ている両国の対応も似てくると思いがちだが、実際は全く異なる。オーストラリアは中国の主導権に反発しているが、韓国は順応するように行動した。米中対立が極度に深まる時代となるにつれ、「二股」の姿勢は立つ瀬がますますなくなった。米中は他国にどちらの味方になるのか明確にするよう圧力をかけている。

 過去7年間、米中が対立してきた10の争点を分析すると、韓国は6件で中国を支持した。保守政権でもリベラル政権でも同様だ。朴槿恵(パク・クンヘ)前大統領は15年、米国の反対を押し切り、中国の戦勝記念日の行事に出席した。文在寅(ムン・ジェイン)政権は19年、米国が中国けん制のために「自由で開かれた」インド太平洋戦略を打ち出した際、中国の顔色をうかがい、支持意向を明らかにしなかった。

 勿論韓国がそうだとしても、米国が報復することはない。同盟だといっても、いつも米国を支持するわけではない。意見が異なることはあり得る。しかし、韓国とオーストラリアはあまりに異なる。過去7年間、「二者択一」の瞬間にオーストラリアは米国を8回支持した。オーストラリアは米国のインド太平洋戦略を全面的に支持し、中国の南シナ海の軍事基地化に反対した。オーストラリアは米国よりも先に中国の華為(ファーウェイ)を5Gのネットワーク構築から排除した。韓国がLGユープラスによる華為の技術、部品採用について、民間レベルの問題だして判断を回避したのと好対照だ。

 香港の民主化デモに対しても、オーストラリアは中国を非難し、米国、英国、カナダなどと同様の態度を見せた。しかし、韓国はあまりに言葉をためらい、韓国が民主主義を支持するような発言をしただけで、中国のケイ海明駐韓大使(ケイ=刑のりっとうをおおざとに)が直ちに反応した。オーストラリアや韓国は米国に盲目的に従わなければならないわけではない。オーストラリアは米中が摩擦を起こしている10の争点のうち8件で米国を支持したことについて、オーストラリア人は主権国家として国益を考慮して下した決定だと言う。韓国も同じはずだ。10の争点のうち6件で中国を支持したことも韓国に最善だと計算したからだろう。

 しかし、韓国が大陸の隣人の側に確実に傾いていることは国民感情とかけ離れて見える。戦略国際問題研究所(CSIS)が先週、韓国国内の専門家と一般人を対象に調べた「未来の米中政策設計」によると、米国より中国との協力を優先すべきだとの回答は4%にすぎなかった。「中立を守るべきだ」という回答も17%にとどまった。10月初めに発表された米世論調査機関、ピュー研究所の調査によると、「習近平国家主席が世界問題に対しうまくやっているか」との質問に韓国人の83%が「そう思わない」と答えた。前年より9ポイント増えたが、これはオーストラリアや米国の人々よりも否定的な反応だった。中国に好感を抱いているかある程度好感を抱いているという人の割合は24%だった。CSISの調査では、文在寅政権は国民との見方の差があまりに大きかった。韓国国内の経済・国家安全保障専門家のうち76%が華為を5Gネットワークから切り離すべきだと答え、新型コロナウイルスについては、中国政府が適正に対処できなかったと答えた人が韓国では79%に達し、オーストラリア(73%)を上回った。オーストラリアの政策は国民感情や社会の共通認識を十分に代弁している。しかし、韓国は異なる。文在寅政権と国民感情の隔たりがあまりに大きい。

ビクター・チャ=米戦略国際問題研究所(CSIS)韓国専門家

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