最近ワシントンで最も注目されている同盟国は、中国けん制の最前線に立っているオーストラリアのようだ。中国政府が先月「オーストラリア産ワイン」に反ダンピング関税を課すと、ホワイトハウス国家安全保障会議(NSC)はツイッター上に「ホワイトハウスでの宴会にオーストラリア産のワインを使う」と書き込み、オーストラリアの肩を持った。しかし、「ワイン」よりもさらに米国を刺激したものは別にあった。

 11月中旬、オーストラリア国防省監察官室は、アフガ二スタンに参戦した自国の特殊部隊が民間人と捕虜を虐待し殺害する犯罪を犯したという531ページに上る報告書を公開した。関係者19人が刑事処罰を受けるということも明らかにした。オーストラリアとしては実に手痛い出来事だった。ところが中国外交部(省に相当)の趙立建スポークスマンが「こうした行為を強く非難する」と、オーストラリア軍人がアフガ二スタンの子どもの首にナイフを突き付けている「合成写真」をツイッター上に掲載した。相手国を中傷するために「偽造写真」まで取り上げたのだ。

 米国務省のケイル・ブラウン副スポークスマンは「中国共産党としては本当に質の低い行動だ」と批判した。次期ホワイトハウス国家安保補佐官指名者であるジェイク・サリバン氏は「オーストラリア人たちは世界の自由と民主主義を守護するために大きな犠牲を払ってきた」とし「米国はわれわれの同盟国オーストラリアと肩を並べて共同の安保、繁栄、価値進展のために同僚である民主主義国家を団結させる」と明らかにした。バイデン政権でも、対中けん制政策は変わらないと予告したのだ。

 波紋が予想されるにもかかわらず、趙スポークスマンが「合成写真」を取り上げた理由は何だったのか。答えは「西側諸国が主張する人権と自由の虚偽性を暴露した」という彼の発言にあるだろう。「西欧が中国よりも優れているものは何か」と宣伝したかったのだ。

 しかし、これが果たしてオーストラリアの偽善の暴露されたケースとなるだろうか。オーストラリアの国防省は、外部の軍事心理学者に特殊部隊における文化について調査を任せており、2016年2月に初めて戦争犯罪の可能性について報告を受けた。立証されていない「デマ」と「証言」が入り混じった状態だった。オーストラリア国防省は独自の監察を開始した。4年にわたって目撃者423人にインタビューを行い、2万件に上る資料と2万5000枚もの写真を分析した。こうして発表されたのが先月の報告書だ。

 民間人と捕虜に対する過酷な行為は、明らかな重大犯罪だ。しかし、オーストラリアには「これではいけない」と問題を提起する人がいた。独立的な調査と監察制度が働いたのだ。オーストラリアの過ちをオーストラリア人の手で明らかにし、アフガ二スタンにおける被害者のために正義を具現する「自由民主主義」が存在した。

 中国には人民解放軍、武装警察、公安といった人員が数え切れないほど多い。これらが香港、チベット、ウイグルなどで行っていることを世界は全て聞いている。しかし、人権問題を提起する自由も、独立的に調査する制度もないのが中国だ。自国民に対してこんなことを行っている国が、外国人の人権問題までも調査したオーストラリアをあざ笑う資格など、どこにあるというのだろうか。米国が本当に言いたいことは、恐らくこのようなことかもしれない。

ワシントン=キム・ジンミョン特派員

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