韓国の文正仁(ムン・ジョンイン)大統領統一外交安保特別補佐官は先日「韓国が米国による反中軍事訓練に参加すれば、中国は韓国を敵と見なすだろう」と発言したが、これを巡って米国国内で波紋が広がっている。米国ではこの発言について「中国をけん制する安保協議体『クアッド』拡大構想に堂々と反対した」と受け取られており、さらに「同盟の評価を切り下げている」といった批判の声も出ている。

 米ランド研究所上級防衛アナリストのブルース・ベネット氏は3日、米国営放送ボイス・オブ・アメリカ(VOA)とのインタビューで「文正仁氏をはじめとする韓国の安全保障専門家の多くは、韓米同盟が『相互防衛条約』によって構築された事実を忘れている」「両国による条約の名称に『相互』という言葉が入っているのは、双方が互いに助け合うことで合意したという意味だ」と指摘した。ベネット氏はさらに「米国は韓国に対してここ70年間、かなりの軍事支援を行ってきた。その米国が今、中国を『米国に対して積極的に冷戦を仕掛ける国』と見なしている」「韓国が米国に負っている多くの負債を返すべき時というのが米国の見方だ」とも述べた。

 パシフィック・フォーラムCSIS(戦略国際問題研究所)のラルフ・コッサ名誉会長は「現在、クアッドはいかなる種類の同盟でもなく、自由で開かれたインド・太平洋を促進する民主主義諸国の集まりだ」「文教授はこの原則に反対しているのか、あるいは米国政府が支持することに対して無条件反対するのか気になるところだ」と話した。米ヘリテージ財団のブルース・クリンナー上級研究員は、「韓国が(クアッドに)参加すれば、新冷戦時代の最前線に立つかもしれない」とする文氏の発言を引き合いに出し「実際は韓国が1950年に北朝鮮に侵攻されて以来、冷戦の最前線に立ってきたということだ」と皮肉った。

 このような中で米国、インド、日本、オーストラリアからなるクアッド4カ国は、この日からインド洋東北部のベンガル湾で定例の合同海上軍事訓練「マラバール」を実施すると発表した。米国は現在、複数の経路を通じて韓国にもクアッドに参加するよう説得しているが、韓国政府は判断を保留している。

 一方でケイ海明・駐韓中国大使はこの日、韓国与党・共に民主党の李洛淵(イ・ナクヨン)代表に会い「習近平・中国国家主席の韓国訪問計画は揺らぐことがない」と説明した。ケイ大使はこの日、李代表に面会した際に行った非公開の対話で「できるだけ早い時期に中国を訪問してほしい」と要請したという。

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