「統一されたら行ってみたい北朝鮮の旅行地を選んでみましょう」。金日成広場、主体思想塔、錦繡山記念宮殿、祖国解放戦争勝利記念塔、平壌地下鉄、非武装地帯(DMZ)板門店。

 ソウルのある小学校で、1年生の児童に遠隔授業の参考資料として、北朝鮮の金日成(キム・イルソン)家系を偶像化している場所や主体思想を宣伝している場所を「北朝鮮の代表的な旅行地」として提示し、保護者らが反発している。

■小学生の参考資料に北朝鮮の宣伝場所

 教育関係者が10日に明らかにしたところによると、この学習参考資料には「統一されたら行きたい旅行地を選んで張ってみましょう」というタイトルが付けられた。1年生の教科書『冬』内の一単元である「ここはわが国」関連の教材だ。

 選択肢として提示された6カ所のうち、祖国解放戦争勝利記念塔には「祖国解放戦争は北朝鮮で称する韓国戦争のことです」という説明が付き、主体思想塔には「世界で最も高い石塔」、金日成広場は「世界で16番目に大きな広場」、錦繡山記念宮殿は「金日成主席と金正日(キム・ジョンイル)国防委員長の遺体が安置された建物」などと紹介した。最近になって保護者らが学校に抗議すると、学校側は「1年生の学習内容や水準に適切ではない話が含まれているので、学習せずに削除してほしい」と告知した。

■統一部のブログの内容をそのまま使用

 この補助資料は、今年9月に大邱教育庁で1年生の遠隔授業用補助資料として作ったけれど修正措置を施したものが基になっている。教育庁側で「問題がある」と判断して妙香山・金剛山・恭愍王陵・白頭山・朴淵瀑布などに修正し、大邱地域の学校へ送った。ところが教師らが、韓国の小学校教師の74%(14万人)の加入するコミュニティーで修正前の資料をシェアした。これをダウンロードした教師らが今月、問題の単元を進めていく際に補助資料として使ったのだ。

 教育庁の資料を作った教師らは「著作権の問題があるので韓国政府の部処(省庁に相当)の資料を探し、統一部(省に相当。以下同じ)のブログで関連の内容を見つけて参考にした」と語った。大邱教育庁は「コロナによる遠隔授業の状況において、家庭学習に役立てようと膨大な量の資料を作るので、内容をいちいち調べることはできない」としつつ「問題を発見してすぐに修正したが、以前の資料が別の地域で使われるだろうとまでは思わなかった」と説明した。

 統一部のブログの資料は「外国人が選ぶ北朝鮮の観光地トップ10」というタイトルで、統一部の大学生記者団が書いたものだ。ここから写真や文章をノーチェックで持ってきて、そのまま学習資料として使ったのだ。統一部ブログには「統一部の公式の立場とは異なることもあり得る」という案内が付されている。

 問題になった小学校で、この資料を児童に配布した教師は「資料を教師コミュニティーからダウンロードし、出典が教育庁と統一部だったので問題ないだろうと思った」と語った。

 ソウル市議会の呂明(ヨ・ミョン)議員は「多数の学校でこの資料をシェアしたと推定される」とし「教育部と教育庁が実態調査を行ってこの資料を使った学校を確認し、改めるようにすべき」と語った。中央大学のイ・ソンホ教授は「思考力や判断力が成熟していない小学1年の児童は、北朝鮮の体制宣伝も同然の内容をそのまま受け止めるだろう」とし、韓国の小・中・高校で統一関連教育がきちんと行われているかどうか点検が必要」と指摘した。

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