2022年の北京冬季オリンピックへの出場を目指して中国に帰化した元ショートトラック韓国代表の林孝俊(イム・ヒョジュン)=25=の計画が完全に挫折する可能性が出てきた。「一方の国を代表した後で国籍を変更したり新しい国籍を取得したりした者は、当該競技者が前の国を代表して参加した最後の大会から少なくとも3 年以上たっていることを条件として、自分の新しい国を代表してオリンピック競技大会に参加することができる」とする国際オリンピック委員会(IOC)憲章(第41条第2項)の適用を受ける可能性が指摘されているからだ。

 林孝俊が韓国代表として出場した最後の国際大会は2019年3月10日に終了した世界選手権(ブルガリア、ソフィア)だった。林孝俊はこの大会で1000メートル、1500メートル、5000メートルリレーで金メダルを獲得し、総合チャンピオンになった。林孝俊はそれから3年後の2022年3月11日から一切の制約なしに中国代表として出場が可能になる。

 ところが北京冬季オリンピックは2022年2月4日に開幕し2月20日に終了する。原則に従えば林孝俊は北京冬季オリンピックに出場できない。ただし関連する国のオリンピック委員会(NOC)や国際連盟が合意し、IOC執行委員会が承認した場合は3年という期間を短縮あるいは解消できる。

 要するに中国のオリンピック委員会が大韓オリンピック委員会に林孝俊の移籍について同意を要請し、大韓オリンピック委員会がこれを承認すれば、林孝俊は中国代表として北京冬季オリンピックに出場する道が開かれるという意味だ。大韓体育会(KSOC)は9日「中国が林孝俊について協力を求めてきた場合、慎重に検討する」との立場を表明した。

 林孝俊は2019年6月、鎮川の韓国代表選手村で後輩選手のパンツを下ろし身体部位を露出させた容疑(強制セクハラ)で起訴され、それから2カ月後に大韓氷上競技連盟から1年の資格停止処分を受けた。2020年5月の一審で罰金300万ウォン(約29万円)、同年11月の控訴審では無罪が宣告され、現在大法院(最高裁判所に相当)判決を待っているが、この判決が出る前に中国への帰化を選択した。

 2011年にロシアに帰化し、14年のソチ冬季オリンピックで3冠王となった安賢洙(アン・ヒョンス)=ビクトール・アン、36=の場合、07年12月以降は韓国代表として国際大会に出場しなかったため、「3年の待機規程」には縛られなかった。06年のトリノ冬季オリンピックで3冠王となった安賢洙は帰化に先立ち、メダル当たり100万ウォン(約9万5000円)ずつ受け取っていた競技力向上研究年金も一時払い(月額の48倍に相当する4800万ウォン〈約460万円〉)で受け取った。しかし林孝俊は資格停止の懲戒を受けた時点から年金は受けられなくなった。またすでに国籍を失ったため一時金として受け取ることもできない。もし将来韓国国籍を回復したとしても、年金ポイントは一切ない状態で新たにスタートしなければならない。

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