故・朴元淳(パク・ウォンスン)前ソウル市長が在任当時、被害者に加えたセクハラ行為の状況が国家人権委員会の「職権調査決定文」の全文に詳細に盛り込まれていることが18日までに分かった。これは被害者の一方的な主張ではなく、独立した国家機関である人権委がまとめたもので、朴前市長が被害者に送った写真、メッセージ、エモーティコン(感情を示すアイコン)などを実際に見たという参考人の陳述、デジタルフォレンジックで復旧した対話内容などを総合的に調べ、事実と認定した内容だ。人権委が今年1月、職権調査結果を発表した際には、「性に関する事件の決定文の全文は公開しない」という内部指針に従い、そうした内容を除外し、最近被害者側に全文を送付した。

 本紙が入手した59ページの職権調査決定文によると、朴前市長は2016年下半期から昨年2月まで持続的に深夜にセクハラに当たるメッセージを被害者Aさんに送っていた。朴前市長は機密性が高いメッセンジャー「テレグラム」を主に利用した。このメッセンジャーは1人が対話記録を削除すれば、相手方の携帯電話からもその内容を削除できるセキュリティーが特徴だ。被害者Aさんは朴前市長からセクハラに当たるような写真、メッセージを受け取るたびに、交際男性やソウル市の同僚らに「心配だ」という言葉と共にそれを見せ、その内容が参考人の陳述によって確認された。

 人権委の調査によると、朴前市長は2019年の夏から秋にかけ、午後9時過ぎに被害者に「君の家に行こうか」「一人でいるのか」といったメッセージをテレグラムで送った。被害者の友人Bさんがそれを直接見たと人権委に陳述した。同年5月などにもテレグラムで「○○は新郎を早く見つけないと」「今部屋にいるの?」「いつもわたしのそばにいてわかっただろ?」「夢では思い通りに、ふふふ」「でもともかく早く嫁に行かなきゃ。私は父親のようだ」といったメッセージを送っていたことが分かった。

 18年4月には被害者Aさんがソウル市長7階の廊下で参考人Cさんに「第三者が見た場合、少々心配なことがある」と言いながら自分のスマートフォンを見せた。そこには朴前市長が夜に送った「何してる?」「いい香りだ、くんくん」といったメッセージとランニングシャツ姿の朴前市長の自撮り写真があったという。

 18年2月には午後11時59分に朴前市長が「うちの○○を連れていかない男がいるというのは理解できない。世界最高の嫁候補なのに」といったメッセージを送っていたことも確認された。ある参考人は18年11月、被害者から「朴市長が送ってきた」と言われ、女性の胸が強調されたエモーティコンを見たと証言した。

 さらに、2000年1-5月に被害者が「市長が書斎でスキンシップを試み、手を握ってほしいというので、後ろから押した」「市長が私を女として見ているようだ」「昼寝の時間に起こしに行った際、抱いてほしいと言われ、拒んでもそう言われた」と話しているのを聞いたとする参考人の証言も得た。

 人権委が確保した被害者の20年5月の精神医学科カウンセリング記録には、朴前社長が「匂いをかぎたい」「きょうは体が素敵だ」「セックスを教えてやる」「君は男を知らないから結婚できないんだ」「家に一人でいるのか、私が行こうか。私は別居中なんだ」といったメッセージを送り、その後は夢でうなされたという被害者の陳述が記載されている。また、朴前市長がランニングシャツ姿の写真を送り、「君も送ってくれ」「これは昔のやつじゃないか。今撮ったやつを送ってくれ」などと要求し、男女の性的関係の過程について語った後、秘密の会話内容を全て消し、テレグラムのチャットルームを退室したという内容もあった。

 ただ、人権委は精神科のカウンセリング記録については、「被害者が告訴を決心して以降に作成されたもので、朴前市長の陳述を聞けない状況では事実かどうか確認が困難だ」とし、「性的関係の方法を説明するメッセージもそれを見たり聞いたりした参考人がおらず、内容がデジタルフォレンジックで復旧されていないため確認が難しい」とした。

 被害者が朴前市長を警察に告訴した昨年7月8日、朴前市長は午後11時ごろ、公邸で補佐陣と会議を開き、「被害者と携帯電話でやりとりしたものがあるのだが、(それを)問題にすれば問題になる可能性がある」という趣旨のことを言ったという。翌日午前、朴前市長は「全ての方に申し訳ない」というメモを残して公邸を出て、7月10日未明、ソウル市の北岳山粛靖門付近で死亡しているのが発見された。

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