欧州医薬品庁(EMA)は18日「アストラゼネカ(AZ)社製ワクチンの接種と血栓生成の関係性は非常に低い」として引き続きこのワクチンの接種を勧告し、これを受け韓国政府も今後も接種を続けることを決めた。23日から療養病院を皮切りに65歳以上を対象として本格的に接種が始まる予定だ。ただし欧州医薬品庁はアストラゼネカ製ワクチンの接種を勧告する一方で「非常に珍しいケースではあるが、血液凝固の報告もあるため引き続き検討が必要だ」ともコメントした。アストラゼネカ社製ワクチンについては「100パーセント安全」とは断言できないようだ。

 欧州諸国はアストラゼネカ社製ワクチンの安全性に対する疑問の声が高まると、このワクチンの接種を中断し、欧州医薬品庁の結果が出るのを待っていた。欧州でもワクチン不足の状況は続いているが、他のワクチンもあるため柔軟な対応は可能だ。しかし韓国は今年の前半までに確保できるワクチンのほとんどがアストラゼネカ社製のため、欧州のような余裕はない。初期段階でワクチン確保に失敗した影響が政府による選択の幅を狭めているのだ。

 韓国がワクチン接種を開始したのは世界で104番目で、経済協力開発機構(OECD)加盟37カ国では最も遅かった。米国や欧州に比べるとほぼ2カ月遅れで、東南アジアやアフリカ諸国とほぼ同じだった。それでもワクチン不足が影響して接種はなかなか進まない。先月26日からワクチン接種が始まったが、20日の時点で人口の1.32%に当たる67万6900人しか接種できていない。23日間で接種が行われたのは1日平均2万4300人のペースだ。このペースだと人口の70%が接種を終えて集団免疫が形成されるまで、今後8年近くかかる計算になる。

 ワクチン確保は今後も大きな課題だ。今年6月までに1150万人の接種を終えることが韓国政府の目標だが、確保したワクチンは805万人分にとどまっており、これから345万人分を追加で確保しなければならない。主要国はこのような事態に備え、事前に複数のワクチンを確保しリスクを分散してきた。これに対して韓国政府は昨年理解しがたい理由でワクチン契約をためらったため、今のようにアストラゼネカ社製のワクチンにばかり頼る状況を自ら招いた。今の政権は加徳島新空港や第4次災害支援金のように選挙にプラスになると考えればすぐに決めて発表する。しかし国民の安全を守るため本当に必要なワクチンの確保はなぜこれほど遅れたのか、なぜアストラゼネカ社製のワクチンだけに頼る事態になったのか、後からでも必ずはっきりと解明しなければならない。

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