▲22日、SBSドラマ『朝鮮退魔師』第1話で放送された宴会シーンで、月餅(げっぺい)など中国風の料理が並ぶ食卓が物議を醸した。写真=SBS

 ドラマで露骨に中国風の小道具や衣装を使ったSBS月火ドラマ『朝鮮退魔師』が、来週予定されていた次回放送を全面中止し、問題のシーンを削除した後に放送されることになった。視聴者の不満が高まっていることに加え、サムスン電子など主なCMスポンサーの間でCM撤回の動きまで起こっていることから、特段の措置を取ったものだ。いわゆる「キムチ工程」「韓服工程」など国のアイデンティティーを歪曲(わいきょく)しようという一部中国人たちの動きや、現政権が見せている中国に対する低姿勢ぶりなど、積もり積もった不満が爆発したとの見方もある。SBSは24日、謝罪文を出した。

 このドラマは、悪霊を追い払うため、中国・明(みん)の国を通じ、西域の退魔師を朝鮮に迎え入れるという設定だ。しかし、22日に放送された第1話の宴会シーンで、月餅(げっぺい)、皮蛋(ピータン)、中国式ギョーザなどを食卓に載せたほか、劇中の衣装や軍師たちが使う剣まで中国風だと騒動になった。また、将来の王となる忠寧大君(後の世宗大王)が屏風のように宴会場の片隅に立ち、使者を迎えるシーンも不快だという指摘がある。

 現在放送されているtvNドラマ『ヴィンチェンツォ』が中国のビビンバを劇中の広告用小道具(PPL)として使用、視聴者たちの反発を買ったのに続き、中国のあるキムチ工場で裸の作業員が白菜を漬ける動画がネット上で拡散するなど、反中感情が積もり積もっている中、このドラマがまた火をつけた形だ。

 延世大学心理学科のイ・ドングィ教授は「韓服やキムチを自国の文化だと主張する中国のこじ付け、終末高高度防衛ミサイル(THAAD)配備に対抗した韓国企業の中国追放など、中国が見せた態度は、韓国のアイデンティティーを攻撃するものと認識される余地がある」「我々の時代で重要な感情は『公正』だが、若い世代を中心に『力ばかりを信じて横暴な態度を取る中国の姿勢は公正でない』との認識が広がっている」と分析した。

 インターネット上では、「チャンゲ(中国人に対する嫌悪表現)は相手をする価値がない」「中国のものはちゃんと選別しなければならない。驚きもしない」などの反応が多かった。韓中ネットユーザー間の争いになる様相も呈している。中国のネットユーザーたちはソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)「微博(ウェイボー)」で「当時の韓国の典型的な姿」として歪曲されたドラマのシーンを擁護し、韓国のネットユーザーたちは「BobaeDream」などのネット・コミュニティー・サイトを通じて「やはりチャンゲだ」「脚本家は中国から金をもらったのか」といった表現を使って対立している。

 大衆文化評論家のキム・ソンス氏は「韓国と中国のコンテンツ・クリエイターがよく言う『クッポン(行き過ぎた愛国心)』系の刺激的なコンテンツを生み出してきたことが、両国のネットユーザー間の対立をあおっている面もある」「今回の騒動の本質は、脚本家の想像力をどこまで許容できるかという点にある。今回の作品は、歴史考証があまりにもできておらず、いっそう非難を浴びているのだろう」と語った。

 ドラマ制作会社YGスタジオフレックス、CRAVE WORKS、ロッテ・カルチャー・ワークスは同日、「敏感な時期に誤解を招いたことについて謝罪する」「ドラマの忠寧大君が退魔師たち一行を迎えるシーンの中で、問題になった点はすべて削除し、見逃し配信や再放送に反映させる」と明らかにした。

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