江原道が春川市と洪川郡一帯に韓中文化タウン、いわゆるチャイナタウンの建設を決めたことをめぐり、反対を訴える青瓦台(韓国大統領府)への国民請願が、賛同者50万人を超えた。このところキムチや韓服(韓国の伝統衣装)などに端を発した中国の「文化の東北工程」(東北工程=高句麗などの歴史を中国史に編入しようとする中国の取り組み)騒動によって反中感情が拡大する中、この事業に反対する動きが高まっている。

 「江原道チャイナタウン建設を撤回してください」と題する国民請願には、13日午後2時現在で50万8000人以上の同意があった。請願者は「中国が韓国固有の文化を略奪しようとしている状況で、大韓民国に小さな中国をつくるのは容認できない」と主張した。

 請願者は「国民は日を追うごとにひどくなる中国の東北工程に我々の文化を奪われるのではないかと不安を感じている」として「立て続けにキムチ、韓服、笠子帽など韓国固有の文化を略奪しようとする中国に、これからは対抗すべきだと思う」と書き込んだ。

 コーロングローバルなどは2018年から江原道と協力し、春川と洪川一帯の120万平方メートルの敷地に中国複合文化タウンを建設する「江原道チャイナタウン」事業を推進してきた。江原道チャイナタウンは、来年の韓中国交正常化30周年を記念して推進している中国文化体験空間だ。規模は仁川チャイナタウンの10倍ほどの広さだ。少林寺をはじめ中国の伝統的な街並み、庭園や料理、名酒などを楽しめる形にする予定だ。

 最近この事業をめぐって世論が悪化すると、主催側は先月12日、株主総会を開いて名称を韓中文化タウンに変更した。江原道は「単なるテーマ型観光地で、中国人の集団居住施設ではない」と釈明したが、依然として反対世論が大きいままだ。

 このところ、キムチや韓服などが中国の文化だと主張する中国人たちに対する反感が高まり、論争は続いている。さらに、先月は放映わずか2回で視聴者からの抗議によって打ち切りとなったドラマ『朝鮮退魔師』を通じて歴史歪曲(わいきょく)論争まで加わり、中国に対する反感は雪だるま式に膨れ上がった。

 特に、江原道の崔文洵(チェ・ムンスン)知事がかつて中国紙・人民日報のインターネット版「人民網」とのインタビューで「この事業を『文化の一帯一路(中国と中央アジア、欧州などを結ぶ中国政府主導の戦略構想)』と名付けた」と発言したことが分かり、この事業に対する反対世論はますます沸騰している。

 反中感情が高まっている状況で、韓国政府の中国に対する生ぬるい対応によって国民的な憤怒が高まったとの分析も出ている。慶熙大中国語学科のチュ・ジェウ教授は「韓国政府は韓半島統一と非核化にとって中国の役割が大きいことなどを理由に、中国に対して低姿勢で外交をしている」として「政府が中国の非合理的な態度に対応できないため、若者層を中心に反中感情が増幅し、チャイナタウン建設に数十万人が反対しているのだ」と指摘した。

 一部では、中国に対する反感を前面に出すよりも、文化的衝突を減らして協力すべきという主張も出ている。チョン・ドクヒョン大衆文化評論家は「中国との断交や文化的断絶と言う方向に進むのは望ましくない方法」だとして「コンテンツを制作する際に外国資本から完全に独立するというのは困難なのが現実」だと語った。

 チョン氏は「『朝鮮退魔師』を通じ、考証が十分でない場合どんな結果で返ってくるかを学んだため、今後は文化的衝突や歪曲がないよう努力しなければならない」として「チャイナタウンを建設する際も、韓国と中国の文化を明確にして盛り込み、各文化の差別化された部分を表現しているか検証しなければならない」と指摘した。

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