キムチ冷蔵庫で韓国国内シェア首位のウィニアディムチェは昨年12月、信用格付けが投資適格の最低ラインである「トリプルBマイナス」から投機的格付けの「ダブルBプラス」に低下した。同社の社債が不履行となる可能性があるという意味だ。格付け見通しも「ネガティブ(弱含み)」と評価された。1-2年以内に格付けがさらに低下する可能性があるという警告だ。系列会社のウィニア電子が45億ウォン(約4億3800万円)の赤字を出し、ウィニアディムチェの債務負担が増大しかねない点が反映された。同業大手のLG電子が昨年、過去最高益を記録したのとは対照的だ。

 韓国金融監督院が6日発表した「2020年信用評価実績分析」によると、昨年信用格付けが付与される1240社のうち格付けが低下した企業は66社で、前年よりも12社増えた。格付けが上昇した企業は34社で前年より3社減った。今後1-2年に格付けが低下する可能性が高い企業は155社で、前年の78社の2倍に達した。投機的格付けの企業の割合は世界的な金融危機以降の10年間で最高を記録した。

■10社中9社は格付け維持したが、回復はK字型

 信用格付けが据え置かれた企業の割合は91.6%で、前年に比べ2.9ポイント増えた。昨年の新型コロナウイルス流行にもかかわらず、信用格付けが低下したか、不渡りを出した企業は少なかったと言える。投機的格付けに分類される企業の数は1045社で年初(1012社)に比べ33社(3.3%)増えた。

 韓国信用評価のユ・ゴン企業評価本部長は「コロナ大流行初期には徹底した封鎖措置で経済活動が全般的に萎縮した。しかし、非接触技術の発展と防疫政策、拡張的財政・通貨政策で下半期には全世界的に製造業の景気が回復を示した」と指摘した。

 2018年以降、格付け見通しが「ネガティブ」だったLGディスプレーは昨年3月、「安定的」に上方修正された。格付け会社は当時、「非対面産業の需要増でノートパソコン、モニターパネルなど高付加価値IT製品の需要が高まり、現金創出力が回復する」と評価した。

 しかし、産業別で景気回復のペースにばらつきがある「K字型回復」で内需関連業種の信用格付けが低下したケースが多かった。映画館チェーンCJ CGVの信用格付けは「シングルA」から「シングルAマイナス」に下方修正され、格付け見通しも「安定的」から「ネガティブ」に引き下げられた。大韓航空、アシアナ航空、ホテル新羅、メガボックス(映画館チェーン)、パラダイス(カジノ)なども格付けが引き下げられたか、格付け見通しが「ネガティブ」とされた。

■「投機的」に転落する企業、金融危機当時のレベルに増加

 信用格付け対象1240社のうち、投機的格付けを受けた企業は195社(15.7%)に達した。世界的な金融危機直後の2010年(16.7%)以降で最高だ。投機的格付けになれば、金融機関が融資を拒んだり、高い金利を適用することになる。超低金利環境でどうにか持ちこたえてきた企業は金利上昇で経営が行き詰まりかねない。

 韓国の信用格付け4社(韓国企業評価、韓国信用評価、ナイス信用評価、ソウル信用評価)が1-2年以内に信用格付けを変更すると見込んだ企業は195社だった。うち、格付け下方修正を見込む「ネガティブ」の企業は79.5%(155社)で前年よりも14.5ポイント増えた。

 金融当局は同日、信用格付けが低下した企業の資金調達のため、社債、コマーシャルペーパー(CP)の支援要件を緩和するなどの支援策を打ち出した。金融研究院のク・ジョンハン上席研究委員は「経営が厳しい企業はコロナ発生前から増加傾向にあった。コロナの衝撃でその数がさらに増える可能性が高い。今からでも企業構造調整の推進対象企業を速やかに選び出す必要がある」と指摘した。

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