清海部隊34陣が出国する前から最近まで、韓国軍当局は隊員らへのワクチン接種について一度も検討していなかったことが20日までに分かった。韓国軍は清海部隊での集団感染が報じられた際、ワクチンを接種しなかった理由について「副作用への対応の懸念」「コールドチェーン輸送の難しさ」「ワクチンを製造する製薬メーカーによる国外への持ち出し不許可」などをその理由として上げたが、これらの説明についても「その場しのぎ」で考え出した可能性が指摘されている。

 韓国の保守系野党・国民の力のイ・チェイク議員が韓国国防部(省に相当)と疾病管理庁から提出を受けた資料によると、清海部隊の作戦を指揮する合同参謀本部は国防部に対し「ワクチン接種の必要性」について文書で一度も伝えていなかったという。文武大王は海軍所属だが、出港後は合同参謀本部の指揮を受けることになっていた。派兵現場の人員や装備の現状報告も合同参謀本部が受けるという。ある韓国軍関係者は「戦闘力や作戦の成否に直結する集団感染という偶発的な事態について、合同参謀本部はこれらに備える計画を取りまとめることをせず、また長官に報告もしなかった。これは納得し難い」と指摘した。

 国防部が複数回作成したコロナ・ワクチン接種計画の文書でも清海部隊は死角地帯に放置されていた。国防部は文武大王が出航した2月8日よりも前の1月に作成した「コロナ予防接種基本計画」において、必須作戦部隊について「第2順位接種対象」と明記していた。しかし清海部隊についての計画は特になかった。4月に取りまとめられた「コロナ予防接種2分期施行計画」にも派兵予定の部隊に対する接種計画しかなかった。実際に3月の時点で出国準備中だった東明部隊25陣に対する接種については疾病管理庁と協議が行われていた。

 国防部は4月の時点で疾病管理庁に対し「海外派兵部隊などに対するコロナ・ワクチン接種意見返信要請」と題された文書を送付した。しかし陸上の駐屯軍が派遣先の国でワクチン接種の提供を受ける計画があっただけで、アフリカの全海域で作戦を行い艦内で生活する清海部隊については一切考慮されなかったようだ。

 国防部と疾病管理庁は今月19日「派兵部隊への接種については口頭で協議を行ったが、清海部隊を特定して協議を行ったわけではない」と説明した。これについてイ・チェイク議員は「協議は清海部隊を除外して行われた。当局は言葉遊びをしていた」と批判した。

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