北朝鮮工作員の指令で米軍最新鋭ステルス戦闘機F35Aの配備反対活動を展開した疑い(国家保安法違反)で韓国検察が令状を請求し、4人のうち3人の身柄が拘束された事件。この事件との関連で、容疑者らの一部が中国国内で北朝鮮工作員「チョ○○」「リ○○」「キム○○」の計3人と接触し、北朝鮮からのさまざまな指令を受けた後、韓国でこれを実行した容疑を国家情報院(韓国の情報機関。国情院)が確認したと3日に伝えられた。さらに容疑者らは、この過程で北朝鮮工作員から活動費を受け取った疑いも持たれているという。

 本紙の取材を総合すると、容疑者らはF35A配備反対闘争のほかにも2018年12月に浮上した北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長のソウル答礼訪問推進活動、非武装地帯(DMZ)平和人間ベルト活動、「統一クリ」苗木100万本送付運動などの活動を繰り広げたが、国情院などはこれを北朝鮮側の指令に基づくものと判断したといわれている。国情院と検察は、一味が数年前から北朝鮮側と接触していた事実を確認し、現在までに確認されている活動のほかにも北朝鮮側の指令を受けて実行に移した事実があるかどうか、捜査を拡大している。

 またこの4人は17年5月の韓国大統領選挙で、当時「共に民主党」代表だった文在寅(ムン・ジェイン)候補の選挙対策委員会特補団に参加した履歴もあることが分かった。当時の忠清道地方のローカルメディアの報道などによると、容疑者らを含む労働団体の元職・現職幹部らは忠北道庁で記者会見を開き「積弊清算と新しい韓国建設の希望を実現する文在寅候補を積極支持する」と支持宣言を行った。

 韓国検察は一味に対し会合、通信、利敵同調、賛揚鼓舞、潜入脱出など、国家保安法に定める大部分の容疑を適用したことが分かった。また、今年5月に容疑者らの自宅などに行った家宅捜索で容疑の裏付けとなる資料を多数確認し、分析を進めていると伝えられている。なお、検察関係者は「捜査中の内容なので確認はできない」とした。

 この4人のうち今月2日に裁判所で唯一令状が棄却されたソン容疑者は、3日の本紙の電話取材で、国情院が適用した各種の容疑を全面否定した。ソン氏は「拘束された人のうち2人は夫婦で、中国で会った人が中国人なのか北朝鮮人なのかも分からなかったのに、捜査機関で北朝鮮の工作員と会って指令を受けたと決め付けていった」とし「国家機関は20年間もスパイ団事件を捏造(ねつぞう)してきた」と主張した。

 ソン氏は「家宅捜索で残らず持っていったものを土台にして水増しし、継ぎはぎして犯罪事実を構成した」「全ての資料は操作され、身柄を拘束された3人も事情聴取を拒否しているのに、捜査機関が強制で捜査しようとしている」としつつ、さらに「もっと深刻なのは、国民主権政府だという文在寅政権が、政権レベルで(事件を)捏造していること」「政権において事件の捏造のため何をしでかしているか、一つ残らず公開する」と語った。

 一方、スパイ事件の弁論を自発的に引き受けてきた「民主社会のための弁護士会」(民弁)の弁護士は、当初この4人に対する弁護を引き受けたものの、先月27日に検察が拘束令状を請求すると、翌日に突如辞任したことが分かった。ソン氏は「政権レベルの操作に、民主化運動の象徴のようになっていた民弁が関与したと思う」と主張した。

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