韓国軍当局は今年下半期の韓米連合訓練の予行演習を早ければ10日に開始する予定だ。韓米指揮官セミナー、戦術討議など事前の作業もすでに始まっている。戦時増員演習(RSOI)に向けた米国の訓練人員もすでに入国を完了、あるいは入国手続き中だ。このような状況で訓練が突然中止となった場合、「韓米同盟は取り返しのつかない打撃を受ける」と懸念する声も出ている。

 韓国政府のある関係者は5日「訓練に向けた準備を手続きに従って進めている」「スタートまで1週間もない状況で韓米訓練を中止するなど全く前例がない」と述べた。実際に韓国国防部(省に相当)の徐旭(ソ・ウク)長官は5日に訓練に関する細かい報告を受け、同時にコロナの感染対策に向けた準備状況などについても確認したという。韓米の軍当局は10-13日に予行演習に相当する危機管理参謀訓練、16-26日には下半期連合指揮所訓練(21-2CCPT)を行うスケジュールで訓練を準備している。韓米は今月3日には韓米連合司令部のラカメラ司令官主管で両国の主要な指揮官が参加するセミナーも行った。

 しかし国防部は、訓練の準備に向けた最終段階で青瓦台(韓国大統領府)から突然中止の指示を受ける可能性も排除していない。そうなった場合、韓米軍事訓練を重視してきた米国から「韓国は安保をあまりにも政治利用している」との批判が高まりそうだ。かつて韓米連合指令官を務めたビンセント・ブルックス氏は先日の寄稿文でこのような見方をすでに示している。

 ワシントンのある外交筋は「ただでさえコロナの影響で訓練は縮小されているが、これが完全に取り消しあるいは延期されるとなれば米国も受け入れがたいだろう」「バイデン政権も『同盟の分裂』を表面化させないように取り繕うだろうが、意見の対立は避けられないはずだ」と指摘した。

 米国で韓半島問題を専門にするタフツ大学のイ・ソンユン教授は前日にツイッターで「(韓国与党の)共に民主党議員らが連合訓練の延期を求める連判状を回覧している」との記事と同時に「これまで58人が署名したが、署名はさらに増えそうだ」「お姫様(金与正〈キム・ヨジョン〉氏)は『なぜこんなに(署名が)少ないのか』と不快感を示されるだろう」と皮肉を込めたツイートを行った。

 任浩永(イム・ホヨン)元韓米連合司令部副司令官は本紙の電話取材に「自国の防衛を目的に行われる訓練を政治的な交渉カードとする発想自体が非理性的だ」「もしそのような形で韓米訓練が中止となった場合、米国は韓国をまともな同盟国と考えるだろうか」と指摘した。

ホーム TOP