コロナ・ウイルスの起源について調べている米国の情報当局が中国の武漢ウイルス研究所に保管されていた遺伝子データを入手し、現在調査を行っていることがわかった。米CNNが5日(現地時間)に報じた。武漢ウイルス研究所で研究が行われていた数多くのウイルス・サンプルの遺伝子情報を確保し、これらのデータを分析することでその起源を解明できる可能性が出てきたという。

 CNNは「米国の情報当局がいつ、どのようにこれらの情報にアクセスできたかは不明」とも伝えた。ある消息筋はCNNの取材に「これらウイルスの遺伝子データを取り扱う機械は通常外部のクラウド・サーバーにつながっているので、それらに侵入した可能性が考えられる」と伝えた。

 米国の情報当局は武漢ウイルス研究所で研究が行われていたウイルスの遺伝子に関するデータを解析し、そこにデータベース管理記録や各ウイルスの入手経路などが同時に保管されていることに期待を寄せているという。まず研究所が保管していたウイルスが時間が過ぎるとどのように変異するかを把握できるきっかけがつかめた場合、そこに人為的な操作があったかも解明できるという。

 さらにウイルスの塩基配列だけでコロナの起源を解明するのが難しい場合でも、武漢研究所がどのようなウイルスをどこから、どのように入手してきたか、さらに何の研究をしたかという「コンテキスト(前後関係)」を把握することがプラスになるとCNNは報じた。そのコンテキストに関する情報がコロナ発生の経緯を推定する明確な手がかりになるというのだ。

 ただし確保された遺伝子データはあまりにも膨大で、これらを分析して使用可能な情報を取り出せるかが今後の鍵になりそうだ。米国のバイデン大統領は今年5月、コロナの起源を解明するため米国の情報当局に対し「武漢ウイルス研究所からの流出説」などについて90日かけて改めて調査するよう指示した。90日という制限された時間内に調査を終えねばならないのだが、実際は研究を行う人材の確保も簡単ではないという。遺伝子の塩基配列を解析する能力を持つ科学者であるのはもちろん、中国語にも堪能で米国政府から機密取扱いの認可まで受けた人材を見つけねばならないからだ。これらの条件下で遺伝子データを全て解析するため、米国の情報機関は現在米エネルギー省管轄の17の研究所にあるスーパーコンピューターに依存しているという。

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