▲鳥のふんを掃除したが、再び白く覆われたパネル-今月3日午後、全羅北道群山市のセマングム4号防潮堤区間に設置された水上太陽光パネルを掃除する作業員たち。作業員たちは高圧散水装置でパネルに付着した鳥のふんを洗い流していた。しかし、その清掃が無駄になってしまうほど、鳥たちはきれいになったパネルに飛んできてとまり、ふんをしていた。写真=パク・サンヒョン記者

 今月初めに訪れた全羅北道群山市のセマングム湖の水上太陽光試験施設では、作業員8人が4時間以上にわたり鳥のふんを洗い流していた。人間がふんを洗い流すと、鳥が再びふんをするという不条理な行為が繰り返された。兵役に就いていた時、雪かきをするたびに(また雪が降ってきて)「天からふんが降ってくる」と言ったものだが、ここでは本物のふんが降っきていた。長い間放置されてこびり付いた「鳥のふん」と、付いたばかりの「新しいふん」(韓国語では両方とも同じ表記・発音)が共存している。清掃を始めた当初は棒で鳥を追い払っていた作業員たちも、ある瞬間からはあきらめたようにこびり付いた古いふんを洗い流すことだけに集中していた。高圧散水装置で鳥のふんを洗い流した所は腐食した痕跡があらわになり、灰色になっていた。

 鳥瞰(鳥が空から見下ろすように上から見た景色)が気になってドローンを飛ばした。空から見下ろした鳥のふん太陽光パネルの第一印象は巨大な美術作品だった。太陽光パネル1枚がだいたい縦1.5メートル×横1メートルで、油絵のキャンバスの80号サイズとほぼ同じだ。紺色のパネルはキャンバスで、鳥のふんは白の絵の具、鳥のふんで腐食した跡はグレーの絵の具だ。そんなキャンバスが240枚集まり、壮観を成している。

 湖に設置されたこの太陽光パネルのキャンバスは、抽象画で有名な米国人画家ジャクソン・ポロック(1912-1956年)の1948年の作品「1948:Black and White」を連想させた。彼はキャンバスに絵の具をまき散らすドリッピング(dripping)技法の先駆者だ。彼の製作手法は「アクション・ペインティング」と呼ばれている。点と線が絡み合い、揺らめき、まるで生きているかのような印象を与えるのが特徴だ。筆を離れた絵の具も芸術になるならば、飛行する生命体がパネルにふんをかけて回るのも、本質からしてアクション・ペインティングだということだ。このパネルを捨てずに「2021:Bird's poo and Solar energy(鳥のふんと太陽エネルギー)」と名付けて展示場に掛けておけば、現政権の荒唐無稽(むけい)なカーボンニュートラル政策を批判する抽象表現主義の作品として脚光を浴びることだろう。

 政府はセマングム水上太陽光パネルを美術作品と勘違いしているようだ。「鳥のふん光」問題が取りざたされて以降、セマングム開発局は「汚染されたパネルは、水上太陽光パネル設置時に予想される問題点を発見するために設置した小規模(100キロワット)試験施設」と反論した。本作品ではなく、習作(練習のために作った作品)だから問題はないということだ。

 しかし、太陽光発電施設の許認可過程で習作はゆるされない。スケッチ段階に相当するのは「環境影響評価」だが、草案・本案を提出させ、環境部の協議意見過程まで経なければならない。スケッチを完ぺきに描いた後、色を付けろという意味だ。それでもセマングム環境影響評価で鳥のふんの問題とそれに対する対策がきちんと取り上げられたことはない。当面は来年までに300メガワット級水上太陽光パネルが設置される予定だが、依然として鳥のふん問題の解決策が1つもないということは、当初のスケッチから間違って描かれていたということだ。

 ジャクソン・ポロックは破格の画風のため一時、詐欺師だと言われたことがあった。セマングム水上太陽光パネルも「鳥のふん光」の汚名をそそいでほしい。

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