韓国のプロ野球チームSSGランダースの外野手、ハン・ユソムは今季本塁打を20本以上マークした。9月9日には満塁本塁打も放った。ハン・ユソムのもともとの名前は「ハン・ドンミン」だったが、今季を前に名前を変えた。昨季は負傷などで苦労したものの、改名後はバットが生き返ったという評価を受けている。スポーツ選手たちはキャリアの転換期を迎える意味で名前を変える傾向にある。韓国のプロ野球リーグだけを見ても、改名した選手が70人近くいる。

 多くの人々が名前を変えている。裁判所は2019年に13万3255件の改名を許可した。2010年から19年までに名前を変えたのは146万人だ。ここ10年間、国民の100人に3人が改名したわけだ。1970年代までは1年間の改名申請件数は4000-6000件程度にすぎなかった。しかし、1990年代から改名申請が増え続け、93年には1万件、2006年には10万件を突破した。

 これには、改名しやすくなったという点も一役買っている。1990年代初めまで名前を変えるための条件が非常に厳しく、改名許可も申請件数の70%ほどだった。しかし、その後、裁判所が名前によって引き起こされる不都合を減らすため、基準を緩和した。2000年代に入り、許可率は95%と、事実上全ての申請を受け入れるレベルに達している。

 名前を変えるのは何も人間に限ったことではない。一時はマンションの名前を変えるのがはやった。有名ブランドに名前を変えれば値上がりするという信念のためだ。もちろん、名前を変えたことでマンションの価格が上昇したという証拠は見つけにくい。名前そのものよりもマンションを「改名」する過程で管理方式なども同時に変えることになるため、価格が上昇したと見るのが適している。少なくともペンキの塗り直しが必要なため、マンションの見た目は小綺麗になる。

 イメージ刷新のため、町名を変えるケースも増えている。ソウル市冠岳区奉天洞と新林洞は、新沙洞、三成洞、大学洞などに名称を変えた。再開発でマンション村ができても昔のイメージが残っており、「変身」が必要だという理由からだ。町名を変えたいという要請が増えたためか、ソウル市のホームページには「町名を変える方法は?」という案内文が掲載されている。

 国境を越えることで、製品名を変えるケースも少なくない。その国の人々が覚えやすく、文化にも適したものに変えようとする。起亜自動車は「K9」を2013年に米国で発売した際、「K900」とした。「ケイナイン」という発音は英語で犬を意味する「canine」と同じで、誤解を招きかねないとの判断があった。グローバル経営を念頭に置き、「ラッキー金星」をLGに(1995年)、ソンギョンをSKに(1998年)それぞれ改名したように、時代の変化に伴う社名変更も珍しいことではない。

 多くの人々や企業、町が名前を変えようとする。特に、個人の改名申請は、整形手術で外見を変えるように、より良い暮らしを追求するという意志を盛り込んだ行動だ。名前を変えることが科学的にどれほど効果があるかについては不明だが、少なくとも改名することで人生がより豊かになるのなら、良しとみるべきではないだろうか。韓国の政党のように頻繁に変えさえしなければの話だ。

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