韓米関係
米専門家ら「韓国は独自に核武装して、米国は支持すべき」
韓国は新たな地政学的状況に合わせて独自の核武装を行うことができ、米国はこれを支持すべきだという主張が、米国内部で提起され始めた。ダートマス大学政治学部のジェニファー・リンド教授とダリル・プレス教授は7日(現地時間)、ワシントンポスト紙に「韓国は核兵器を作るべきか」というタイトルの記事を寄稿した。中国の台頭と北朝鮮の核の高度化で韓米同盟が弱体化している中、韓国独自の核武装が解決策になり得る、という内容だ。
韓国核武装論は、米国では深く考慮されない「少数意見」に属する。にもかかわらず、米国の主要メディアにこうした寄稿記事が載るのは、中国の荒々しい台頭、北朝鮮の核の高度化によって米国の悩みが深まっており、かつては全く考慮していなかった代案も議論され始めたことを示唆している-との分析がある。
リンド教授らは「(韓米)同盟が困難に直面している」とし、中国の台頭と北朝鮮の核の高度化が根本的問題だと主張した。両教授はまず、中国の台頭が「両国の外交政策の優先順位に亀裂を作っている」と指摘した。米国は同盟諸国が対中けん制に参加してくれることを一層期待しているが、韓国は最大の貿易パートナーである中国との関係を壊したくないのだ。
韓米同盟が弱体化しているもう一つの要素として、リンド教授らは北朝鮮の核の高度化を挙げた。両教授は「戦争が起きたら、北朝鮮首脳部は韓国の通常戦力面での優位を無力化するため、核兵器を使用する強いインセンティブを持つだろう」とし、「米国が報復したら、米本土が(北朝鮮の核の)目標になる」と主張した。韓半島での戦争が米国の都市の破壊と混乱につながりかねないとしたら、米国人が核兵器の使用に同意するはずがなく、これは同盟の信頼性に問題を引き起こしてしまう。
両教授は、こうした状況を米ソ冷戦時代とも比較した。当時、欧州諸国は「米国は本当に(西ドイツの首都)ボンを守るため(米国東部の)ボストンを犠牲にするだろうか?」という疑念を抱いていた。英仏はそれぞれ独自の核武装を行った。
その上で両氏は、こうした状況を打開する方法は「ワシントンの大多数が『考えられないこと』とみなしている方向へ韓国が動くことだ。独自の核兵器庫を開発すること」と記した。独自核武装が「韓国を北朝鮮の脅威から一層安全に保護してくれるだろう」とし、「中国がより大きな力と影響力を振るう地域において、韓国の政治的独立の維持を助けてくれるだろう」と記した。
■韓国が信頼できる国1位は米国、警戒すべき国は?
多くの専門家は、核拡散防止条約(NPT)加盟国である韓国が核兵器を開発したら国際制裁を受けることになるので、独自核武装は難しいとみている。しかしリンド教授らは「北朝鮮の核兵器開発は違法」だが「韓国の開発は合法的で、正当化し得る」と主張した。NPT第10条は「この条約の対象である事項に関する異常な事態が自国の至高の利益を危うくしていると認める場合には、その主権を行使してこの条約から脱退する権利を有する」と定めている。北朝鮮が核兵器で韓国を脅している状況は「明らかに、この『異常な事態』に該当」するのであるから、NPT脱退を敢行し、核兵器を開発できるというのだ。
両氏は「(韓国の独自核武装は)核拡散を防ごうとする米国の核心政策に反する」としつつも、「弱体化した(韓米)同盟にとって最適のルートになり得る」と主張した。その上で「もしソウルがこうした措置を取ると決定したら、米国は非難の焦点を北朝鮮の違法な核プログラムに合わせ、価値ある同盟に政治的支持を提供しなければならない」と結論付けた。
リンド教授は、これまで絶えず韓半島問題に関心を持って研究してきた中堅学者として国際社会でもよく知られている。2009年に「フォーリン・アフェアーズ」に寄稿した「謝罪のリスク」という記事で、日本の「アデナウアー式謝罪」を主張したことでも有名だ。コンラート・アデナウアー首相時代の西ドイツのように、日本は過去の残虐行為を否定せず賠償すべきで、韓国など隣国もこれを受け入れ、お互いに未来志向的に進むべきだという内容だった。
一方、米国家偵察局(NRO)のクリストファー・スコールズ長官は、あるカンファレンスで、昨年打ち上げた2基の新型偵察衛星を対北情報収集に活用していることを公表した。これらの衛星の細かな諸元は公表しなかったが、従来の衛星だけでは捕捉しきれない死角地帯の映像や信号情報を収集する上で成果をあげているものとみられる。
ワシントン=金真明(キム・ジンミョン)特派員