▲ファッション・ブランド「SPAO(スパオ)」がオンラインコンテンツ制作会社「サンドボックス・ネットワーク」、ナチュラルサイズ・モデルの「チド」と共にファンディングを通じて製作した平均体形のマネキン。写真=サンドボックス・ネットワーク

イーランド「SPAO」、身長161-173㎝の平均体形に

 非現実的に高身長でスリムなマネキンが「現実的な体形」に変わりつつある。韓国の大手アパレルメーカー「イーランド」のファッション・ブランド「SPAO(スパオ)」が来月初めから一部店舗で展示しているマネキンは男性172.8センチメートル、女性160.9センチメートルというこれまでより小さめのサイズになった。韓国の25-34歳の男女の平均体形をかたどったもので、男性190センチメートル、女性184センチメートルだったこれまでのマネキンより20センチメートル前後小さくなった。マネキンのウエストも現実の男女の体形を反映させ、男性は2.3インチ(約6センチメートル)、女性は5.9インチ(約15センチメートル)太くなった。

 別の大手アパレルメーカー「コーロンFnC」は今年3月、韓国の平均体形の男性のための「リアルな丈」のパンツを発売した。これまでの販売していたパンツより10センチメートルほど丈が短く、購入後も裾上げをする必要がない。今年の秋冬物のジャケットなどアウター類も肩幅などが平均体形に合わせて作られている。

 全世界のMZ世代(1980年代初め-2000年代初め生まれ)を中心に巻き起こっている「ボディ・ポジティブ(body positive=「自分の体を肯定しよう」という考え方)ブームがファッション業界を変えつつある。ガリガリにやせたモデルをまねてダイエットし、コルセットを巻いていた若者たちが、きらびやかで美しい服ではなく、楽な服を好むようになっていることから、背の低いマネキン、裾上げが必要ないパンツ、ワイヤーのない下着が相次いで登場している。海外でもセクシーさを強調していた有名下着メーカーが普通体形のモデルを起用するようになり、オーバーサイズの体形の女性のためのブランドが米証券市場に上場するなど、変化が起きている。健康と自分自身を重視するMZ世代の登場と、新型コロナによる「巣ごもり」がこのような動きに火をつけた。

 米国ではオーバーサイズの女性のための服を作る「TORRID(トリッド)」が7月にニューヨーク証券取引所に上場した。この会社は「マネキンではなく、人の体に合わせてデザインする」というコンセプトを掲げ、昨年売上高9億7350万ドル(約1084億円)を記録した。セクシーな下着の代名詞だった「ビクトリア・シークレット」も市場シェアが2015年の32%から2020年には21%と急落し、変化を宣言した。マーティン・ウォーターズ最高経営責任者(CEO)は今年2月のインタビューで、「世の中が変わった時、我々はきちんと対応できていなかった」と語り、6月には元難民のモデルやオーバーサイズのモデルなど、さまざまな体形・人種のモデルを起用した。

 韓国でも新世界インターナショナルのブランド「JAJU(ジャジュ)」のレディース用ボクサーパンツが今年6月に初めてパンティーの売上枚数を上回った。派手な下着の代わりにワイヤーがないブラジャーや女性ボクサーパンツなどが相次いで発売されている。

 欧米の若者たちの間では今年初め、スキニージーンズ(体にフィットするパンツ)を捨てたり、燃やしてしまったりする動画をソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)にアップロードする運動が展開された。これらの若者たちは「体を締め付けるジーンズは母親世代の産物だ」と考えている。英日刊紙ガーディアンは「Z世代はスリムさを成し遂げるべき目標だとは考えていない」と報じた。

ソン・ユジン記者

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