韓国国内のワクチン接種完了率が23日に70%を突破した。これは接種が始まった今年2月26日から約8カ月、正確には239日後だ。経済協力開発機構(OECD)加盟国の中で接種完了率が70%以上を記録しているのは24日の時点でポルトガル(86%)、スペイン(79.6%)、カナダ(73.4%)、イタリア(70.6%)など韓国を含むわずか10カ国だ。韓国政府は「接種完了率が70%を突破したのはOECD加盟国の中では3番目に早いペース」と説明した。世界でも接種完了率が70%を超えている国はわずか30カ国だ。国際統計サイト「アワー・ワールド・イン・データ」によると、韓国は昨年7月末時点の接種完了率(13.9%)は世界104位だったが、現在は29位と非常に早いペースで上昇した。

 専門家は韓国が比較的早いペースで接種完了率70%を達成できた最も大きな原動力について「ワクチン接種こそコロナを終結させる」という「科学に対する国民の信頼」と「自発的な参加意識」を指摘する。ワクチン接種の初期は血栓、心筋炎、心膜炎などさまざまな副作用が起こるとの懸念や不安が大きかったが、「コロナから自分自身と家族の生命を守る最も確実な方法はワクチン接種」という信頼と確信があったからこそ可能になったというのだ。

 梨花女子大学木洞病院呼吸器内科の千恩美(チョン・ウンミ)教授は「ワクチンに対する韓国国民の拒否感は他の国に比べてかなり小さい方だ」「(コロナ感染拡大初期と中期に)ワクチン接種がもっと早く始まっていれば、接種率のペースも今よりはるかに早くなっていただろう」との見方を示した。ワクチン接種の歴史が長い欧州諸国の場合、ワクチン接種に伴うさまざまな副作用を昔から経験してきたため、ワクチンに対する拒否感も大きい。そのためコロナワクチン接種率増加のペースも足踏み状態だ。ハンリム大学聖心病院呼吸器内科チョン・ギソク教授は「韓国は1960年代まで小児まひやコレラなどさまざまな感染症が流行していたが、ワクチン接種によって現在これらの病気はほぼなくなった」「歴史的な経験を通じてワクチンに対する信頼が非常に高くなっている」と説明した。最終的に科学への信頼が非常に早いペースでのワクチン接種につながったということだ。

 1日最大100万人のワクチン接種が可能な韓国国内の医療インフラや医療スタッフの献身も忘れてはならない。ワクチンを保管できる施設を持つ街中の病院や医院(委託医療機関)およそ1万4000カ所が接種に協力している。毎年インフルエンザ・ワクチンの大規模供給を行うノウハウもあることから、コロナワクチンも安全に病院まで運ぶことができたのだ。ワクチン接種の事前予約が必要なため、多くの人が一度に予約しアクセスできなくなる「予約大乱」も一時は起こったが、疾病管理庁がオンラインでの予約システムを改善し、これが接種率の向上につながったとの見方もある。

 嘉泉大学医学部予防医学科のチョン・ジェフン教授は「昨年末から続く私的な集まりの制限などの影響で、韓国国民の日常回復への期待はこれまで以上に高まっている」「ワクチン接種だけが以前の生活に戻るための方法という点には多くの国民が同意している」と述べた。高麗大学の崔在旭(チェ・ジェウク)教授は「大企業がワクチン休暇を取り入れるなど、社員の自発的な接種を促したことも大きく作用した」「民間の経済主体による努力も忘れてはならない」と説明した。

 接種率が70%に達したことを受け、ソウル市内の公共交通機関や地方の空港ではほぼ正常に近いレベルの運行が始まり、「ウィズ・コロナ」の雰囲気も徐々に高まっている。今年7月9日から平日は夜10時以降最大で20%削減されていたソウル市内の公共交通機関は4カ月で以前の水準に戻る。ソウル市によると、地下鉄2号線と5-9号線、牛耳新設軽電鉄や市内各地のマウルバスも25日から正常運行に戻るという。昨年4月に国際線の運航が仁川空港に一元化されて以来、1年7カ月にわたり使用が中断していた地方空港の国際線も11月から再開する。金海空港では早ければ11月末からサイパン(週2便)とグアム(週1便)への運航が始まる。地方空港では接種完了者と在外公館が発給する隔離免除書の所持者に限り国際線の航空機を利用できる。

 一方で韓国政府が25日に発表した「段階的日常回復推進案」によると、現在行われている多くの感染対策が一気に解除される可能性が高いようだ。首都圏では夜10時、首都圏以外では夜12時までに営業が制限されている飲食店やカフェなど、多重利用施設の営業時間制限は大幅に緩和される見通しだ。韓国政府は25日午後の公聴会で段階的日常回復推進案を公表し、専門家の審議を経て29日に最終案を発表する予定だ。

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