白内障の手術が認知症を予防するという調査結果が出た。米国ワシントン大学医学部のセシリア・リー教授の研究陣は7日、国際学術誌「米国医師会雑誌:内科(JAMA Internal Medicine)」上で「年を取って白内障の手術を受けた人は他の人より30%も認知症になりにくい」と発表した。

 白内障は、目の中で「カメラのレンズ」役を果たす水晶体が白く濁ってしまうことにより視力が低下する疾患だ。白内障の手術は、損傷した水晶体を人工の水晶体に変えるもの。

 

 リー教授の研究陣は65歳以上の3038人を対象に長期間の追跡調査を行った。調査期間中、853人が認知症にかかった。全参加者中ほぼ半数が白内障の手術を受けていたが、このグループは少なくとも手術後10年間、手術を受けていない白内障患者のグループより認知症発症リスクが30%低かった。なお、緑内障手術を受けた人は、認知症の発症が減るということはなかった。緑内障は、視神経の異常や眼圧の増加で視野が狭くなる疾患だ。

 視力の低下は認知症を誘発するリスク要因だ。視力が悪くなると家にばかりこもりやすい。社会と断絶すると、自然と脳機能は退化していく。また、睡眠の周期を調節する生体時計は青色の光に対し敏感に反応する。白内障は青色の光を遮断する。

 リー教授は「白内障は、青色光をはじめ網膜に届く全ての光の質に影響を及ぼすので、白内障手術が神経細胞を再活性化させて認知能力の減少を防いだ、とみることができる」と説明した。

李永完(イ・ヨンワン)科学専門記者

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