▲先月30日、新潟県佐渡島の佐渡金山坑道だった場所にある展示場の様子。鉱夫たちが技術者として処遇され、4時間交代で勤務をして休憩所で休んだという説明があったが、朝鮮人強制動員の痕跡はほとんどなかった。写真/佐渡(新潟県)=チェ・ウンギョン特派員

 日帝強占期(植民地支配期)に朝鮮人強制労働があった佐渡金山(新潟県佐渡島)を日本は12年前から国連教育科学文化機関(ユネスコ)世界文化遺産登録のための候補暫定リストに挙げていたが、韓国政府はこれを詳細に把握していながらも日本側に対して積極的に対応していなかったとして、批判を浴びている。

 

 ユネスコが2日に明らかにしたところによると、日本は2010年に佐渡金山を世界文化遺産登録のための「暫定リスト(tentative list)」に登録した。登録日は同年11月22日だ。ユネスコは「暫定リスト登録は世界文化遺産候補推薦のための第一段階」「暫定リストに挙がっている遺産だけが世界文化遺産登録を検討する対象になり得る」としている。つまり、各国の世界文化遺産候補が網羅された「予備リスト」ということだ。

 各国はこのリストに挙がっている候補の1つを選び、1-2年ごとに1回開かれるユネスコ世界文化遺産登録審査にかけることができる。2015年に世界文化遺産となった長崎県の軍艦島(端島)の場合、2009年1月から「九州・山口の近代化産業遺産群」という名称で暫定リストに載っており、その6年後に「明治日本の産業革命遺産」の一部として登録に成功した。日本は現在、佐渡金山など5件を、韓国は漢陽都城や伽耶古墳など12件をこのリストに載せている。

 日本は佐渡金山を2010年の暫定リストに初めて挙げた時から、朝鮮人強制労働などについては全く言及していないことが明らかになった。日本が提出した登録文書には「日本と中国、西洋の鉱山技術が出会って誕生した貴重な文化的価値がある遺跡」としか言及されていない。

 ユネスコは現在、これらの暫定リストはもちろん、各国が作成した登録文書も、誰でも見られるように公開し、管理している。韓国の文化界の一部からはこれをめぐって「2015年の軍艦島問題が浮上した時、政府は佐渡金山の登録推進はもちろん、朝鮮人強制労働問題に言及していないことも把握して積極的に対応できたはずではなかったのか」と指摘する声が上がっている。

 韓国外交部当局者はこれと関連して、「(日本の暫定リストを)数年前から注視しており、関連研究を進めて現況を把握した」「ユネスコ事務局に(佐渡金山について)2回以上注意喚起した」と語った。しかし、外交部は日本に直接問題提起したかどうかについては明らかにしていない。

パリ=チョン・チョルファン特派員

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