▲写真=NEWSIS

【韓国ジェンダーリポート2022】〈第8回〉

 オンラインゲーム「リーグ・オブ・レジェンド」をプレーする大学生のノ・ソジンさん(20)は、女性であるにもかかわらず、ゲームの中では「チョ・ドクチュン」「クァク・ドゥパル」といったハンドルネームを使用し、男性になり済ましている。本当の性別が明らかになると、男性プレーヤーから悪口やセクハラじみたメッセージが送られてくるためだ。1億人を超える全世界のユーザーがランダムで5対5のチームになって対戦する同ゲームで、ノさんの戦績は、上位1%前後に値する。しかし、ノさんが女性であることをカミングアウトすると、ゲームが始まる前に男性プレーヤーたちから「ここまで上がってくるのを見ると、男たちに相当体を許してきたんだろうな」「女なら洗濯でもしてろ」などと言ってばかにされる。チームが負けると、とにかく女性プレーヤーのせいにされる。ノさんは「ひとまず女だからお前が悪い」というメッセージも送られてきたという。ノさんに自宅の住所を送り付け、会おうと誘ってくる男性もいたという。2回ゲームをすれば1回はこうしたメッセージを読む羽目になる。

 一昔前までゲームといえば、若い男性たちの趣味空間だった。しかし、今は老若男女がゲームを行っている。韓国コンテンツ振興院がまとめた「2021ゲーム利用者実態調査」によると、全国民の71.3%は年に1回以上の割合でゲームを行っている。これが20代になると、ゲームをする割合が男性は96.2%、女性は74.4%にまで高まり、10代では男性の95.1%、女性の92.2%がゲームを楽しんでいる。

 しかし、オンラインゲーム空間は、互いに対する人身攻撃の場と化して久しい。相手の両親の悪口を言うのも、今ではよく見掛ける行為だ。相手の年齢、出身地域、学歴、職業など全てが攻撃材料となる。これは最近人気のあるゲーム特有の競技方式のためだと指摘する意見も多い。ネットカフェ統計サイト「ザ・ログ」によると、17日現在、韓国国内のネットカフェの利用者は、「リーグ・オブ・レジェンド」と「オーバーウォッチ」というゲームを楽しむのに、全接続時間の半数(49.7%)を費やしている。ところで、この二つのゲームは互いに知らない者同士が一つのチームを組んで相手チームと対戦するものだ。そのため、戦いで負けたときは「チームの中に実力の足りない人がいた」か、「誰かがわざと敗北につながる行動をした」ために負けたと考えやすい。韓国女性政策研究院が2019年に15-17歳の男女7774人を対象に調査した結果、男子生徒の22.2%、女子生徒の7.1%が「チームが勝つためには、ゲームが下手な人に悪口や中傷罵倒を浴びせることができる」と答えた。「ゲームが下手な人は強制退出(ゲームから排除されること)させられても仕方ない」という意見に対して男子生徒の25.5%、女子生徒の14.7%が同意した。

 ゲームで他人に侮辱を与える文化は、10-20代を中心に女性プレーヤーが増えるにつれ、言語による性暴力といった形でも表現されている。韓国コンテンツ振興院の調査によると、ゲームユーザーの4人に1人(26.6%)は、ゲーム上でセクハラや性差別を経験した。被害者の68.6%はメモやチャットで性的表現の混じった悪口や心理的攻撃を受け、27.9%は不快感を誘発する性的描写の入った写真や動画を受け取った。26.5%は音声チャットで悪口を言われたりセクハラに近いメッセージを受け取ったりした。女性政策研究院によると、女性プレーヤーには「マイク(音声チャット)をオンにしろ。かわいいかどうか確認する」「お前はフェミニストか」といったセクハラ、性器と関連した悪口が浴びせられている。

 「オーバーウォッチ」をプレーするキムさん(26)は、友人とゲームする場合を除いては音声チャットをオフにしている。自分の声が相手に伝わらないようにするため、そして男性プレーヤーたちの「わあ、女だ」という皮肉を聞かないようにするためだ。音声チャットをするときは、声を男性の声に変えてくれるアプリを使用する。

 男女間の対立は、ゲームコンテンツそのものを巡っても生じている。一方では、ゲーム制作会社の役職員の大多数が男性であり、男性プレーヤーの好みに合わせて女性キャラクターを露出の激しいデザインに仕上げているという指摘が絶えない。一方、一部の「フェミニスト」や「政治的な正しさ」を追求する制作者によって、ゲームの世界観やストーリー、キャラクター性が損なわれていると主張する声もある。「男性嫌悪」の傾向があると判断される人物を探し出し、ゲームの制作会社に圧力を掛け、制作から排除することも繰り返されている。

〈特別取材チーム〉金潤徳(キム・ユンドク)週末ニュース部長、キム・ヨンジュ社会政策部次長、卞熙媛(ピョン・ヒウォン)産業部次長、キム・ギョンピル政治部記者、ユ・ジョンホン社会部記者、ユ・ジェイン社会部記者、ユン・サンジン社会部記者

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