▲米空母「ロナルド・レーガン」などが9月30日、韓米日3カ国合同対潜訓練に参加して東海で機動訓練を行っている。/写真=韓国海軍

 韓国の革新系最大野党「共に民主党」の李在明(イ・ジェミョン)代表が7日、韓米日合同演習について「極端な親日国防」と非難したことに関連して、軍事専門家らは「急速に増強されている北朝鮮の核・ミサイル戦力を抑止するために、韓米日の協力は軍事戦略上の選択ではなく必須のものになっている」と指摘した。

 これまで実施された韓米日3カ国合同訓練は、大きく分けて捜索救助、ミサイル探知・追跡(警報)、対潜の3分野。このうち捜索救助は、遭難した船舶の捜索および救助など人道主義的な性格が強く、国民感情を懸念する必要もあまりないため、2011年から実施されている。

 ミサイル探知・追跡訓練は、北朝鮮が東海に向けて弾道ミサイルを相次いで発射したことから3カ国とも必要性に共感し、2016年6月から始まった。韓国も東海のイージス艦を通してミサイル発射情報を集めてきた。だが韓国よりもイージス艦の隻数が多い米国(数十隻)、日本(8隻)と役割を分担すれば、韓国のイージス艦の負担を減らすことができる。米日も韓国のイージス艦の情報を通して、北朝鮮側に近付かなくとも北のミサイルの初期飛行データを把握できる。

 イージス艦は最大1000キロ先の敵の弾道ミサイルを探知・追跡できる。3カ国はミサイル警報訓練を2016年に2回、2017年に4回、合計6回実施した。文在寅(ムン・ジェイン)政権時代の2018年以降も、ほぼ毎年実施されたが、北朝鮮を刺激しかねないという理由で訓練の事実を公表しなかった。場所は東海など、韓日の海域で実施するケースが多かった。文政権時代も韓米日合同訓練はたびたび実施されていたのだ。訓練は主に、仮想の北朝鮮ミサイルを3カ国のイージス艦が追跡し、情報を共有するというやり方で行われた。

 対潜訓練は、3分野の訓練の中で最も遅く、2017年4月に初めて実施された。北朝鮮が北極星1型SLBM(潜水艦発射弾道ミサイル)の試射に成功したことを受け、東海で弾道ミサイル潜水艦をキャッチするために実施された。日本は、米国を除くと世界で最も多くのP3C海上哨戒機を保有(100機)するなど、世界トップクラスの対戦作戦能力を持っている。米国の北東アジア地域における対潜作戦は日本に一定部分を依存しているのが実情だ。東海は水深があり、潜水艦の探知が難しい水中環境を有していて「潜水艦天国」と呼ばれているだけに、3カ国の協力と訓練は軍事的に欠かせないという。

 3カ国対潜訓練は、2017年4月に続いて先週、およそ5年ぶりに2度目の訓練が実施された。米太平洋軍(PACOM)司令官出身のハリー・ハリス元駐韓米国大使は、米国メディアのインタビューに応じて「対潜水艦戦は極めて複雑かつ、進化している領域で、特に韓米あるいは韓米日連合と共に行う連合作戦は一層重要」とし、「域内のいかなる状況に対しても海上の自由を保障するためには、3カ国が協力することが絶対的に必要」と語った。

 また韓米日3カ国合同訓練は、韓半島有事の際に米国の大規模な増援戦力の発進基地となる、7つの国連軍後方司令部基地(在日米軍基地)の効率的な運用のためにも必要、という分析もある。7つの国連軍後方司令部基地とは、米空母ロナルド・レーガンなどが停泊する米第7艦隊の母港・横須賀(海軍基地)をはじめ佐世保(海軍基地)、キャンプ座間(陸軍基地)、横田(空軍基地)と、沖縄の嘉手納(空軍基地)、普天間(海兵隊基地)、ホワイトビーチ(海軍基地)だ。嘉手納基地は、韓半島にしばしば出撃するF22ステルス戦闘機やRC135系列の偵察機などが配備され、発進する場所だ。米軍基地とはいえ、日本の協力がなければ有事の際に円滑な増援を実現するのは難しい。

 さらに、北朝鮮と中国に対応する戦略的な側面からも、韓米2カ国の訓練より韓米日の合同訓練の方が効果的-という評価もある。朴元坤(パク・ウォンゴン)梨花女子大教授は「北朝鮮の立場からすると、韓米より韓米日で合同対応する方が当然重荷になるだろう」とし、「それだけ抑止力が増大するということ」と語った。韓米日の合同訓練は、北朝鮮の後ろ盾となっている中国にも負担を与えることができる。北朝鮮が挑発のレベルを上げれば上げるほど、韓米日が安全保障協力と訓練を強化する名分が積み上がるので、中国が北朝鮮の強硬な挑発をけん制することもあり得るのだ。

ユ・ヨンウォン軍事専門記者

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