■西側のけん制で先端技術産業も停滞

 インフラ、不動産投資に依存した従来の成長モデルが限界に直面したとの指摘もある。中国は昨年、GDPに占める投資が占める割合が46%にも上った。銀河証券研究所の滕泰元所長は先月、フィナンシャル・タイムズとの対談で。「先進国は投資がGDPに占める割合が20%台で、インドのような発展途上国でも27%程度だ。高度成長期が過ぎてからも過度な投資に依存すれば重大な問題を生むだろう」と指摘した。投資の効率性が落ち、ただでさえ深刻な負債問題をさらに悪化させかねないからだ。

 米国など西側諸国のけん制を受け、半導体など先端技術産業の発展は容易ではない。中国の昨年のGDPは7兆ドルで、米国(23兆ドル)の77%にまで上昇した。世界貿易機関(WTO)に加盟した11年には米国の13%だったが、それから大きく発展したのだ。問題は経済規模が拡大すれば、成長率を引き上げるのがそれだけ難しくなることだ。ローウィ研究所は「これまで米国をはじめとする西側国家から渡った技術が中国の生産性向上に少なからず寄与をしてきた。技術規制で国際先端技術分野に対するアクセス機会が減れば、中国の技術革新はそれだけ遅れる」と分析した。

 習近平政権後半から強化された民間企業規制など左派的な経済路線を問題視する向きもある。サマーズ元財務長官は「過度な債務と不透明な未来成長動力、広範囲の企業分野に対する共産党の介入、生産年齢人口の減少と高齢化などが中国が直面する課題だ」と述べた。

■30年前の日本のように…中国実業家、米不動産を「涙のセール」

 日本資本は1980年代後半、米ニューヨークなどで有名な商業物件を大量に買収したが、90年代に巨額の損失を出して安値で処分したことがある。ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)など米メディアは、中国資本がここ数年間、同じ歴史を繰り返していると報じた。

 WSJは先月、米不動産情報会社MSCIのデータを引用。中国企業が19年から4年間、236億ドル(約3兆4400億円)相当の米国内の商業物件を処分したと報じた。13年から18年までに520億ドル相当を購入したのと正反対の現象だ。

 代表的な米国不動産投資事例に挙げられるニューヨーク・マンハッタンのオフィスビル「245パークアベニュー」は先月、米国不動産信託会社SLグリーン・リアルティーに所有権が譲渡された。2017年に22億ドルでこの物件を購入した海航集団(HNAグループ)は、4億ドルの損失を出し、18億ドルでビルを売却した。

 19年に19億6000万ドルで中国の安邦保険集団が購入したニューヨークのウォルドルフ・アストリア・ホテルも経営難が続いている。米国内で多数の不動産開発プロジェクトを進めてきた中国の金融グループ、泛海控股(オーシャンワイド・ホールディングス)も、既にかなりのプロジェクトを債権者に譲渡したという。

 中国資本が米国不動産市場で苦戦する理由は複合的だ。米国の商業用不動産市場はこの数年間、新型コロナの影響で低迷から抜け出せずにおり、不動産価格も大幅に下落するなど、市況が低迷している。中国政府が4年前から企業による外貨流出を強力に規制し、資金調達が困難になった事情もある。最近米中関係が悪化したことも要因の一つに挙げられる。

 WSJは「中国は1980年代と90年代初めにニューヨークのロックフェラーセンターなど有名な商業物件に巨額を投資し、大きな損失を出した日本企業と似たような状況だ」とし、「トロフィーのように買い集めた不動産を相次いで売却している」と形容した。

崔有植(チェ・ユシク)東北アジア研究所長

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