ミャンマーでは軍部によるクーデター後の経済危機の影響で、生活苦に陥った一部ミャンマー人の間で臓器の密売が行われていることが分かった。

 「フロンティア・ミャンマー」誌が17日(現地時間)に報じたところによると、貧困と負債のため腎臓を密売するミャンマー人が少しずつ増えているという。ミャンマーは2015年に制定された臓器寄贈法により臓器売買を禁じている。違反した場合は最大で3年の懲役刑となる。ところが2021年2月のクーデター後はSNS(交流サイト)に「腎臓を寄贈する」とか「移植を受けた」などの書き込みが急激に増えた。これらのほとんどは違法な臓器売買と推定されている。現地の病院はコロナの影響で2020年から臓器移植手術を中断しているからだ。

 ミャンマーで腎臓を密売する人の多くはインドに行っているようだ。インドは臓器提供の条件が緩く医療施設も整っているという。インドでは臓器を提供する側と受け取る側が親類縁者であることを医師が確認するだけで手術が可能だ。ミャンマー第2の都市マンダレーに住むコ・ウィン・アウンさん(26)は妻と2人の息子を養う家長だが、2021年に仕事を失って生活が苦しくなり、フェイスブックに「腎臓を売ります」と書き込んだところ、移植を希望する人に会った。ウィン・アウンさんは「移植を受ける人と親戚関係」といううその証明書をインド政府に提出し、ニューデリーで手術を受けた。ウィン・アウンさんは腎臓提供の見返りに2500ドル(約32万円)を受け取ったという。

 ウィン・アウンさんは「仏教徒として臓器の提供は現世と来世のために徳を積む方法と信じている」「仏教では腎臓売買を禁止していない」と述べた。

 ヤンゴンの縫製工場で働くマネインさん(27)は借金を返済するためSNSに「腎臓を提供をする」と書き込んだ。マネインさんは妊娠4カ月のシングルマザーで、腎臓移植が胎児にとって良くないことを理解している。しかし今の50ドル(約6400円)の月収では借金を返しながら子供を育てることはできないと考え、今回の決定を下したようだ。

 世界銀行が昨年7月に公表した報告書によると、2021年2月のクーデター後、ミャンマーでは5500万人の全人口のうち約40%の2200万人が貧困層だという。

チェ・ヘスン記者

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