▲写真=NEWSIS

 米紙ニューヨーク・タイムズ(NYT)が韓国で相次いで暴露された有名人による学生時代の暴力・いじめ騒動を取り上げて報道した。同紙は「一般大衆は学校暴力・いじめ告発を通じて有名人たちに致命打を与える方法を支持しているが、一部では行き過ぎだという懸念もある」と伝えた。

 同紙は3日(現地時間)、「有名人が嫌がる関心:いじめ告発」という見出しの記事で、学校暴力・いじめ疑惑や騒動が最近浮上して各界から消えた韓国の有名人を取り上げた。中学時代にチームメートに暴言を浴びせて脅迫した事実が明らかになり、韓国プロバレーボールリーグを去った李在英(イ・ジェヨン)と李多英(イ・ダヨン)の双子姉妹や、学校暴力・いじめ疑惑で大手芸能事務所HYBE(ハイブ)との契約が終了したガールズグループLE SSERAFIM(ル・セラフィム)の元メンバー、キム・ガラムなどの例が挙げられている。

 また、国家捜査本部長に任命されたものの、息子の学校暴力・いじめが明らかになり、任命を取り消された鄭淳信(チョン・スンシン)弁護士(56)の事例も取り上げた。同紙は「『言葉の暴力を浴びせた息子のことを鄭淳信弁護士がかばった』という話が出るや、尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領はすぐに任命を撤回した」と報じた。

 同紙はさらに、「有名人たちは過去の学校暴力・いじめについてきちんとした処罰を受けていないため、後になって暴露が相次いだ」と分析している。ノ・ユンホ弁護士は「韓国における学校暴力・いじめに対する処罰は、米国より厳しくない傾向がある」「学校暴力・いじめは停学や退学の事由に該当するのにもかかわらず、韓国の多くの学校が社会奉仕活動や接近禁止命令を下すにとどめている」と説明した。

 その上で、同紙は「学校暴力・いじめの暴露はインターネット上で匿名により行われるため、真偽の確認が難しく、誇張されているケースもある」「一部の有名人の場合、過ちに比べて過度な処罰を受けている」として、韓国プロ野球(KBO)リーグで「最高の投手」と言われた安佑鎮(アン・ウジン、23)=キウム・ヒーローズ=の事例を挙げた。

 安佑鎮は高校時代の「野球部の後輩に対する暴行」が問題になり、2017年に大韓野球・ソフトボール協会(KBSA)から資格停止3年の懲戒処分を受けた。この懲戒期間は終わったものの、ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)韓国代表チームの最終リストから外された。

 同紙は「安佑鎮は『私に関する学校暴力・いじめ報道は誇張されている』との見解を示しているが、野球のファンたちは『安佑鎮が最終リストから外されたことは正しかった』と考えている」「韓国人たちは安佑鎮が高校時代に受けたボランティア活動と書面による謝罪という懲戒処分が軽すぎると考え、かえって激怒している」と伝えた。安佑鎮の代理人を務めているペク・ソンムン弁護士は「安佑鎮は学校で暴力を振るい、いじめをした悪魔のように見られ、そのためにつらい日々を過ごした」と話している。

 米アラバマ大学で犯罪学を研究しているキム・ジフン氏は同紙に「多くの韓国人は学校暴力・いじめが被害者の人生を取り返しのつかないほど壊してしまうと考えている」「学校暴力・いじめ加害者のキャリアが駄目になることについては自業自得と思われているため、問題があるとは見なされない」と語った。

チェ・ヘスン記者

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