米系私募ファンド、ローンスターによる「外換カード株価操作事件」の共犯であるローンスター・コリア元代表のスティーブン・リー容疑者(54)が2日、米国で逮捕された。リー容疑者は韓国系米国人で、2005年に韓国国税庁がローンスターの捜査に着手した直後、米国に逃亡した。 韓国法務部は2006年、米国側に身柄の引き渡しを要求しており、17年越しで逮捕に至った。

 韓国法務部は5日、ローンスター事件に関与したリー容疑者が韓国法務部と米当局の協力により、2日に米ニュージャージー州で逮捕されたとし、法務部は米国側と協力の上、犯罪人引き渡し裁判を進め、身柄を速やかに韓国に送還する方針だと説明した。米司法当局が他国の要請を受け、米国籍の容疑者を逮捕するのは異例のことだ。

 ローンスターは03年、政官界への働きかけを通じ、外換銀行を安値で買収した後、転売して多額の差益を得た。リー容疑者はローンスターが04年、外換カードを安値で吸収合併するため虚偽事実を流布し、外換カードの株価を下落させた疑いも持たれている。大検察庁中央捜査部が06年に捜査を行ったが、リー容疑者が国外に逃亡しており、全貌を明らかにできなかった。この事件ではローンスター・コリアのユ・フェウォン元代表に懲役3年、ローンスターに罰金250億ウォン(約26億円)の刑が言い渡され確定している。

 リー容疑者が米国で犯罪人引き渡し裁判を経て国内に送還されるまでには時間がかかる可能性がある。法務部と検察はリー容疑者が送還されれば、追加捜査を行い、起訴する方針だ。

 一方、リー容疑者はローンスターが12年5月、韓国政府を相手に6兆ウォンの損害賠償を求めた投資家・国家間訴訟(ISDS)の重要証人でもある。世界銀行傘下の国際投資紛争解決センター(ICSID)は昨年8月、韓国政府がローンスターに支払うべき金額は約2800億ウォンに限られるとし、ローンスターが外換カード株価操作事件で有罪判決を受けた事実をその根拠に挙げた。リー容疑者が逮捕されれば、ICSIDの判定に不服を申し立てる手続きを進めている韓国政府に有利に働く可能性がある。

兪鍾軒(ユ・ジョンホン)記者

ホーム TOP