政治総合
敵と味方を判別する道具に成り下がった歴史問題…尹大統領の済州島四・三事件追悼式欠席を共に民主は「極右行動」と非難
韓国の最大野党・共に民主党が再び歴史問題による政争を始めた。執権時は「歴史問題究明」という名分で保守派を攻撃したが、野党になった後は「保守派が歴史を歪曲(わいきょく)している」として歴史を政治に持ち込んでいる。左翼の暴動を韓国軍や警察が鎮圧する過程で数多くの民間人が犠牲になった1948年4月3日の「済州島四・三事件」も例外ではなかった。
共に民主党の李在明(イ・ジェミョン)代表は3日、済州島四・三事件記念館を訪れ、「政府・与党の極右的行動が済州島四・三事件の精神を冒涜(ぼうとく)している」「済州島四・三事件の『完全な解決』という大統領の約束は不渡りになった」と言った。同日、済州島に総集結した野党関係者らは、尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領と「国民の力」金起炫(キム・ギヒョン)代表ら与党の主要人物が出席しなかったことを指摘した上で、「済州島四・三事件解決に対する真摯(しんし)さ」に疑問を呈した。このため、「尹政権が先日打ち出した強制徴用問題解決策をめぐる攻防に続き、歴史問題絡みの理念戦争ばかりが続いている」と指摘する声もある。
共に民主党は尹大統領の済州島四・三事件追悼式欠席を問題視している。同党の朴洪根(パク・ホングン)院内代表は「おそらく(尹大統領など与党は)来年の総選挙が差し迫ったら、票を意識して顔を出すだろう」と言った。尹大統領は昨年、保守政党の大統領当選者としては初めて済州島四・三事件追悼式に出席した。だが、今年は韓悳洙(ハン・ドクス)首相が追悼式会場を訪れ、犠牲者の名誉回復を誓う大統領の追悼の辞を代読した。文在寅(ムン・ジェイン)前大統領も2018年、「毎年来られなくても、隔年で出席したい」と述べ、在任中に計3回(2018年・2020年・2021年)出席した。尹大統領も同様に、現在まで隔年で出席しているが、共に民主党は「出席なら『選挙で得票するため』、欠席なら『歴史問題無視』」と言いがかりを付けているのだ。
その一方で、先月24日の「西海(黄海)守護の日」記念式典に共に民主党指導部は出席しなかった。この日は2002年に起きた北朝鮮との銃撃戦「第2延坪海戦」などで犠牲になった人々を追悼する日だ。現代史の主要事件を政治の色で染め、与野党がそれぞれ「所有権」ないしは「主導権」を主張する状況が起こっているのだ。全南大学のチェ・ヒョプ名誉教授は「追悼は事実の統合と和解を通じて未来に進むためのものだが、政治の介入でこうした意味合いが色あせてしまったようだ」「相手陣営に圧力を加える手段として、悲劇を政略的に利用してはならない」と語った。
金慶和(キム・ギョンファ)記者