▲写真=UTOIMAGE

 「日本の半導体産業のシェアは大きく落ち込み、ほぼゼロになってしまうとの懸念もある」

 日本の経済産業省が2021年6月に策定した「半導体・デジタル産業戦略」に盛り込まれた文章だ。現在、日本の半導体産業復活の基礎となった文書は骨の髄からの反省と凄絶な危機意識に基づきつくられたものだ。そこには日本の半導体が没落した原因と背景、日本の地政学的機会、今後の対策などがぎっしりと盛り込まれている。それから2年がたった今、戦略の内容は急速に現実化している。

■半導体復活、日本政界が主導

 日本の経済産業省がこの文書を策定した背景には、政界の強い影響力があった。発表1カ月前の2021年5月、自民党の有力議員100人は「半導体戦略推進議員連盟」を結成し、「半導体復活」を旗印に掲げた。彼らは「このまま何もしなければ今後国内で半導体製造基盤が消滅する危機に直面した」とした上で、「単なる産業政策ではなく、経済安全保障の観点で先端半導体の国内工場の新設・増設を国家事業として推進するため、欧米など他国に匹敵する予算を速やかに確保すべきだ」と指摘した。米中の技術覇権戦争のさなかで日本が地政学的に戦略的要衝になり得るという正確な認識が日本の有力政治家から真っ先に示されたと言える。半導体戦略には「韓国と台湾は先端半導体生産の70%を占めているが、米中の覇権対立でファウンドリー(受託生産)の地政学的危機が高まっている」とし、「日本の安定した地政学的潜在力が明確になっている」という趣旨の内容が盛り込まれた。米中対立を日の丸半導体復活の踏み台にするという意向を明確に示したものだ。韓国政府関係者は「この文書の核心はこの部分だ」と話した。

 与党の実力者である100人の議員たちは、文書に盛り込まれた対策をしっかり現実化するため、立法、半導体投資、補助金支給のための予算編成などで先頭に立った。戦略に示された「先端半導体工場の誘致」は文書発表から4カ月後に早くも実現した。台湾積体電路製造(TSMC)が日本のソニーと共同で熊本に半導体工場を建設し、2024年末から稼働を開始すると発表したのだ。TSMCの投資額の半分に相当する4760億円の予算支援も目立った反対なしでスムーズに決まった。翌年5月には半導体を重要物資に指定する「経済安全保障推進法」が可決され、半導体連盟の議員らは「今後10年間、官民が10兆円の追加投資ができるよう財源を拡充する」との決議を行った。

 今年5月には米メモリー最大手のマイクロンも日本に最大5000億円を投資し、先端工場を建設すると発表した。世界最大のメモリーメーカーであるサムスン電子も日本の補助金を受け、半導体試作品生産ラインを25年に稼働することを決めた。政府文書には国立大学である東京大、東北大の半導体技術水準まで把握し、TSMCのような外国企業とどう協力していくかまで詳細な記述が盛り込まれた。

■地政学的な強みで浮上…限界を指摘する声も

 文書発表から2年後の今月6日、経済産業省は半導体戦略の改正案を発表し、30年までに日本の半導体売上高を15兆円に引き上げるという目標を掲げた。21年の半導体戦略発表時に設定した13兆円を2兆円上積みした。半導体業界からは「日本の政府・政界がこの2年間主導した半導体復興実験の成果で自信をつけた」という評価が聞かれる。改正案には「日本のシェアがゼロになる」といった表現も消えた。代わりにTSMCが熊本に工場を新設するほか、キオクシアが三重県に新工場を建設し、経済波及効果が9兆2000億円に達するという試算も盛り込まれた。

 ただ、半導体業界からは日本の半導体が短期間で大きな脅威に浮上するのは困難との見方もある。現在半導体の製造実力は40ナノメートル水準で、3ナノメートル水準の韓国・台湾を飛び越えて2ナノメートルを目指すという目標は非現実的だとみられるからだ。半導体業界関係者は「日本は半導体素材・設備分野で技術力を保有しているほか、米国の徹底した支援を受けられるため、(推移を)注意深く見守っている」と話した。

朴淳燦(パク・スンチャン)記者、オ・ロラ記者

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