▲メルカバ4/イスラエル防衛軍提供

 パレスチナ武装勢力のハマスが公開した動画は意外にもイスラエル防衛軍(IDF)の主力戦車「メルカバ」の驚くべき防衛システムを示すものだった。戦場でハマスの攻撃を受けても大きな打撃もなく継続して疾走するその姿がカメラに撮影されていた。

 米国の軍事メディア「ザ・ウォー・ゾーン」はハマスによるロケット砲攻撃から自らを守るメルカバの動画がソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)を通じて公開されたと報じた。この動画は現在IDFが地上作戦を行っているガザ地区南部のカーンユニスでの戦闘の様子で、ハマスが撮影したとみられる。皮肉にもこの動画はメルカバの優れた防衛システムの性能を示す最高の動画になったという。ザ・ウォー・ゾーンが伝えた。

 動画の最初の場面はイスラエル軍の戦車メルカバが攻撃を受けながらも高速で通りを走行する様子が撮影されていた。ハマスが何の武器を使ったかは確認されていないが、ハマスはイスラエル軍の戦車に様々なロケット砲(RPG)攻撃を行った。この動画から、メルカバのアクティブ防衛システム(APS)「トロフィー」が確実に機能していることがわかる。メルカバから少し離れた場所で爆発が起こった時も損傷することなく走行を続けた。また動画の次の場面では停止している別のメルカバが敵の攻撃に反応し、トロフィーシステムが作動する様子がさらに鮮明に映っているという。ザ・ウォー・ゾーンが伝えた。

 ザ・ウォー・ゾーンは「この動画は、特に建物が密集した都市などでの戦闘に投入される戦車に装着されたAPSの価値を証明している」「都市では敵と非常に近く、様々な建物などに隠れながら、走行する戦車に対して待ち伏せ攻撃ができる有利な環境となるからだ」と説明した。動画でもメルカバは非常に高速で移動しているが、この時中の兵士らは外の状況が一部しか把握できない環境となる。

 メルカバはイスラエル軍を代表する武器であり主力戦車で、海外の技術を使って独自開発したものだ。現在はメルカバ4が主力となっている。2006年の第2次レバノン侵攻後、戦車にとって脅威となる対戦車ミサイルとロケット砲を迎撃する「トロフィー」が装着された。メルカバは最高速度が時速64キロで、120ミリ(4.7インチ)MG253戦車砲と60ミリ内蔵型迫撃砲などで武装している。IDFは5年掛けて開発した「第5世代メルカバ」となる「バラク」を今年9月に公開し、今回の戦闘にも直ちに投入したという。

 APSは対戦車ミサイル、対戦車ロケット砲、対戦車榴弾などから守るため開発されたが、幅広い高度と範囲はもちろん、360度全方位の防衛が可能なように設計された。正確な構成は設置された車両によって異なるが、通常は小型レーダーの配列とハードキル・システムが搭載された複数の発射機からなる。車両の停止時も移動中の時もいずれも迎撃が可能だ。

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