▲イラスト=UTOIMAGE

 12月18日午前、北京・朝陽区の三源里青果市場を訪れると、まるで画廊に入ったかのような錯覚を覚えた。1500平方メートルの室内空間の両側に2メートル四方の店舗が並ぶ。店ごとに明るい照明の下、生鮮食品がきれいに陳列されていた。野菜売り場にはビニール容器で包装した野菜が整然と積まれており、その周囲を束野菜で囲み、まるで絵に額縁に入れたような演出をしていた。鮮魚売り場にも赤い魚、背が青い魚などを繊細に色分けして配置し、視線を移す時のグラデーション効果を狙っていた。ほかにも鶏卵·ウズラやダチョウの卵があたかも彫刻品展示のように陳列されており、店の境界には香辛料や穀物を入れた数百個の瓶が「壁」のように積み上げられていた。服装も整った若い店主たちはまるでデパートの店員のように落ち着いた声だ。客引き行為はあったが不快感を与えるほどではなかった。この市場は若者がインスタグラムに載せる写真を撮ってもよいのではないかと思わせる光景だった。

 三源里市場をはじめ、北京都心部の主な市場が最近外観を変え、華やかな観光地として急浮上している。若者は市場を「都心の中の小さな森」と呼び、「癒し」を求め、ソーシャルメディアに投稿している。壮年層と北京在住の外国人は主に高級食材を手に入れる目的で市場を訪れるという。 今年「小紅書」(中国版インスタグラム)で「市場ツアーガイド」という検索語は6700万回検索され、評価サイトの豆瓣では「市場愛好家」のグループページ加入者が15万人を突破した。三源里青果市場のある店主は「今や大都市の市場は芸術家が展示を行ったり、作家が新作発表会を開いたりするプレミアム空間だ」と話した。

 北京・房山区の「東風市場」は最近2カ月にわたり、書道作品で内部を飾った。若年層が好む「ヒップな」書体で市場のさまざまな案内文と看板を書き、天井と壁に取り付けた。北京・海淀区の「車客家園デジタル化青果市場」は随所をスタジオのように装飾して照明を設置することで、店主がライブコマースをできるようにした。市場の商品も食用花、スペイン産生ハム、高級酒類などに拡大した。

 北京の市場はオンライン配送サービスとの競争で生き残るため、こうした変化を選んだ。オフライン市場が価格、アクセス性の面でオンライン配送サービスに比べ競争力が劣る状況で、高い店頭価格で持ちこたえるためには、より多くの顧客を誘致し、高級化せざるを得なかったのだ。三源里市場の商品価格は実際に割高だ。みかん6個入りの1パックが75元(1520円)、トマトは小10個で30元だ。安価な野菜や果物を大量に売るのではなく、高価な品種の生鮮食品を少量、高値で販売する戦略を取っている。顧客の立場では、まるで有名観光地を見て回り、お土産を買っていくような気分になる。

 中国人はすでにオンラインで買い物をすることに慣れている。盒馬鮮生、美団、京東買菜などで店頭よりも安い製品が早く手に入るためだ。北京市民は「団地のグループチャットで『団体購入』方式で生鮮食品を大量発注することがある。価格は非常に安い」と話した。

北京=李伐飡(イ・ボルチャン)特派員

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