▲仁川市の開港場通りにある巨大な孔子像/パク・チョンイン記者

 中国吉林省長春市に留学した弟がいるおかげで、たびたび中国の話を聞き及ぶことがある。主に中国人の生活様式がどのように変わっており、同年代の中国人の友人の間では何が流行しているといった内容だ。国際ニュースが伝えてくれない中国の90後(ジオウリンホウ・1990年代生まれ)の話は、時には興味深く、時には聞き慣れないものだ。

 最近弟との会話で衝撃を受けたことがあった。先日インターネット上で「中国人は韓国人が孔子は韓国人だと言い張っていると思っている」という書き込みを見た。それで弟に「本当か」と聞いたら、自分も中国留学当時に聞いたことがあると言った。初めてその話を聞いた際には、あきれて中国人の友人に「本当にそんなうわさが流れているのか」と尋ねたが、その友人も急に表情が硬くなり「お前も孔子が韓国人だと思うのか」と真顔で問い返してきたという。私が国際情勢にあまりにも鈍感だったのかもしれないが、中国は改めて遠い国のように思えた。

 孔子が韓国人だなんて。これまで「明太子は日本食」と言う日本人ユーチューバーに抗議した人は見たことがあったが、孔子を韓国人だと主張する人は一人も見たことがない。とんでもない話だが、問題はこんなデマが中国や台湾にかなり広がっている点だ。2011年、台湾の馬英九総統(当時)が台北郊外の新北市にあるセントジョンズ科技大学(聖約翰科技大学)を訪問した当時、ある韓国人留学生が「台湾で孔子と豆乳を韓国が盗もうとしているという誤解を受けている。誤解を解いてほしい」と求め、馬英九が代わりに釈明したことがあった。韓国のバラエティー番組「アブノーマル会談」の中国版である「世界の青年は話す(世界青年説)」という番組では、韓国人出演者が「孔子は中国人だ」と発言し、出演者から大きな拍手を受けたりもした。

 このような孔子論争の震源は、政界や学界ではない。孔子が東夷(東方に住む未開の異民族)だったという韓国の一部主張が根拠として示される場合があるが、大半は「そう言っていた」という程度のうわさにすぎない。それでも看過できないのは、そんなデマが積もり積もって相手国に対する認識を形成し、外国人嫌悪感情を助長するからだ。実際に中国版X(旧ツイッター)の微博(ウェイボー)には今も「孔子韓国人説」を非難する投稿があり、中国人の怒りを誘っている。我々も偉そうなことは言えない。昨年ソウル・新林駅での刃物強盗事件当時、犯人は朝鮮族ではないかという書き込みが殺到した。犯罪率が高いという偏見とは異なり、人口10万人当たりの朝鮮族犯罪率は韓国人の半分にすぎない。

 このように刺激的な扇動とでたらめなデマが飛び交う理由は簡単だ。それが利益になるからだ。怒りを誘発する刺激的なコンテンツはソーシャルメディアで再生回数が伸びる。事実でなくてもさほど失うものはない。たかだか警告やアカウント停止程度だ。リスクに比べてリターンが大きいので、紛争で利益を得る「アグロ(aggro・好戦)勢力」がはびこる。ここで悩みの種が生じる。民間で飛び交ううわさに、政府はどこまで介入すべきか。過度な統制はややもすると表現の自由を損ないかねない。政府がそんなことにいちいち介入するのもおかしい。

 解決のヒントも意外にもネット空間にあった。親しい中国人ユーチューバーは直接韓国人に孔子について質問し、「韓国人が孔子が韓国人だと主張しているというのは誤解だ」と訂正してくれた。微博でもデマを批判する書き込みがたびたびあった。うその扇動をする人と同様、ファクトチェックに努力する人も多いと感じた。あえて政府が乗り出さなくても、誤った情報を正そうとする民間の努力が奨励される環境が整えば、フェイクニュースが入り込む余地はますます狭くなるのではないだろうか。

イ・ドンス青年政治クルー代表

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