▲グラフィック=キム・ハギョン

 「今日は韓国旅行の初日なので北村(韓屋村などがあるソウルの観光地)を回ってからこちらに来たんですが、はっきり言って汚いですよね」

 今月16日午後7時、ソウル市中区の明洞。街で出会ったフィリピン人の観光客エマニュエル・フェドラルベズさん(30)は、商業ビルの入り口横に積み上げられたごみを見ながらこう言った。フェドラルベズさんが指を差した場所には、コーヒーの使い捨てプラスチックカップ、トッポッキのソースがこびり付いた紙製容器、食べかけの焼きトウモロコシなどのごみが数十点、山積みになっていた。

 フェドラルベズさんのスーツケースの持ち手には、白いビニール袋が結んであった。フェドラルベズさんは「ごみ箱がなかなか見つからないので、食べ残しや紙コップなどをここに入れて歩いていました」と話した。白い袋の中には紙皿と食べ残したたこ焼きが入っていた。フェドラルベズさんは「目立つ所にもっとごみ箱があればいいのに」と言った。

 コロナが終息し、客足が戻ってきたソウル・明洞の街には、至る所にごみがポイ捨てされている。特に、環境美化員が活動していない夜になると、道路やベンチ、花壇はもちろん、シェアサイクルの前かごにもごみがいっぱい入っていた。営業を終えた店の前にもごみがあった。ごみ箱が少ないせいで、観光客がごみをポイ捨てし、これを片づける人もいないからだ。明洞地域のごみ問題はコロナ前にも指摘されていたが、同じ現象が繰り返されている。

 今月15-16日に訪れた明洞には、さまざまなごみが至る所に山積みになっていた。友人と一緒に韓国旅行にやって来たという日本人のモリ・ナナコさん(21)は「日本の観光地と比べて明洞はごみが確実に多いと思う」と話した。トルネードポテトを食べていたノルウェー人観光客(49)は「周囲にごみ箱がないのでベンチ横のごみの山に捨てるしかなかった」「食べ歩きをするのはいい経験だけれど、ごみの処理が問題だと思う」と話した。ある外国人カップルは、食べ残したカップ入りのトッポッキを空き店舗の窓辺に置いて去っていった。中国人観光客のヤン・ウィさん(28)は「明洞は韓国の他の観光地よりごみ箱がとても少ないと感じる」として「クロッフル(ワッフル型のクロワッサン)を食べたが、紙皿を捨てる場所が全然なかった」と話した。明洞派出所の関係者は「警察署にやって来て、ごみ箱がどこにあるか尋ねる観光客もいた」と明かした。

 明洞のごみポイ捨て問題はここ数年にわたって持続的に取り上げられてきた。特に、中国からの観光客が急増した2015年には、ごみのポイ捨てとごみ箱不足の問題が論争になった。中区庁によると、明洞観光特区(明洞・武橋洞・乙支路・清渓広場)では一日25トンほどのごみが発生しており、ごみ箱は合わせて28個設置されている。中区庁側は「従来は18個だったが、ごみが多すぎるため23年夏に10個増やした」と説明した。しかし、観光客が主に歩く場所にはごみ箱がほとんど見当たらなかった。本紙が、外国人観光客が主に通る「明洞通り」と「明洞8通り」を歩いてみたところ、ごみ箱はわずか3つだった。ポイ捨てのごみは主に屋台から発生するが、自主的にごみ箱を設置している店はほとんどなかった。明洞一帯の屋台43軒のうち、客用のごみ袋やごみ箱を自主的に設置している店舗は1軒しかなかった。

 ソウル市は「明洞観光特区を含め、流動人口が集中する地域にごみ箱を広く設置するために、関連予算を前年比300%近く増やす予定」と説明した。ソウル市の関係者は「今年、明洞観光特区に新しいデザインのごみ箱を15個設置する予定」だとして「翌月までに需要を調査し、今年7-8月までには設置を終える予定だ」と説明した。

 しかし、設置を担当する中区庁は「明洞の商人会と協議して具体的なごみ箱の位置を決めなければならないため、もう少し時間を要する可能性がある」としている。一部の商店関係者は、ごみ箱を店の近くに置いた場合、客に敬遠されるのではないかと懸念していることが分かった。中区庁側は「過去にもごみ箱を増やしたことがあったが、そのたびに、美観を損ねるとの理由で2-3日で撤去に至った」として「ごみは排出者が処理するという原則に基づき、まずは飲食を販売する商人たちが片づけるのが適切だ」との見解を示した。

キム・スンヒョン記者、キム・ドヨン記者

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