「日本で売られている『農心 辛ラーメン』のカップラーメンの方が、韓国で売られている同製品より安くて具も多い」というあるユーチューバーの主張が11日、インターネット・コミュニティー・サイトで話題になった。そして、韓国・ニュージーランド・日本・中国の辛ラーメンの中身を比較した写真もこれと共に拡散された。韓国の消費者たちの中には「元祖である韓国の辛ラーメンの方が他の国よりも中身が貧弱なのか、と裏切られた気がした」という人もいた。

 インスタントラーメンはKコンテンツ人気に支えられ、輸出が爆発的に増えている商品だ。特に大手食品企業「農心」の辛ラーメンは「Kラーメン」を代表する商品として世界約100カ国に輸出されており、国による違いに消費者は敏感だ。では、ユーチューバーの主張通り、辛ラーメンは日本で買って食べた方が得なのだろうか。実際に確認してみた。

■具は日本製の方が3グラム多い

 話題になった「韓国の辛ラーメンVS日本の辛ラーメン」という動画は昨年12月、動画共有サイト「ユーチューブ」のあるチャンネルにアップロードされたものだ。日本で販売されている輸出用辛ラーメンの小カップサイズと、韓国国内向け辛ラーメンの価格・具の量・味を比較したという内容になっている。

 動画では、日本の辛ラーメンの方が具がかなり多いように見える。ネットユーザーたちが「なぜ日本で売られている製品の方が中身が多いのか」と怒っているのも、このためだ。

 日本の辛ラーメンの具の量が韓国国内向けよりも多いという話は、過去にも数回あった。

 日本で販売されている辛ラーメンは韓国の工場で製造して輸出している。具の重さは韓国国内向け辛ラーメンよりも3グラム多い。麺の重さは同じなので、日本の製品は68グラム、韓国の製品は65グラムだ。農心は、日本輸出用の具が多いことについて、現地での競争力確保を理由に挙げた。「インスタントラーメンの元祖」日本で生き残るために、辛ラーメンもアップグレードが必要だったということだ。農心の関係者は「日本の他のカップラーメンと競争するため、具の大きさや重さを増やした。価格と内容物が違うため、輸出用と韓国国内向けを同じ製品だと見なすのは無理がある」と言った。

■味の違いは「…」

 このユーチューバーは、味については事実上、韓国の辛ラーメンに軍配を上げた。はじめは「日本は具の量が詐欺並み」と言っていたが、結局は「(韓国の製品の方が)麺もコシがあり、スープに牛肉だしの味が濃いと思った。(韓国の)辛ラーメンは本家の座を守った」と言った。

 本当に韓国国内向けと輸出用の味は違うのだろうか。国によって辛ラーメンの味は違う。これは、許可されている食品添加物が違うからだ。例えば、「米国で販売されているカップラーメンには肉類から抽出した添加物を入れることができないため、代替添加物を開発して入れている」というのが農心の説明だ。日本の辛ラーメンにも一部、違う成分が入っている。 ただし、農心は「成分が違っても世界どこでも同じ味を出すのが辛ラーメン研究陣の目標だ。実際の味はほとんど同じだと判断しているが、味覚が敏感なお客様は違いを感じるとおっしゃっている」と説明した。

■日本の方が安い? 「価格騒動」

 ユーチューバーは日本の製品には「850ウォン」、韓国製品には「900ウォン」と字幕を付け、「日本の方が安い」と言った。これに対して、農心は「公式価格は日本の方が高い」と話す。農心によると、辛ラーメンのカップ麺の日本公式小売価格は148円(約1320ウォン)で、韓国は1150ウォンだという。日本の製品の方が約170ウォン高いのだ。ただし、実際に消費者が支払う金額は流通チャンネルによって変わる可能性がある。このユーチューバーは、ラーメンを割引販売する小売店を利用したり、大量のまとめ売り製品を安く買ったりした可能性がある。農心の関係者は「約100カ国に輸出しているので、製品価格がまったく同じということはあり得ない」と語った。

 実際に輸出製品は現地の物価と為替レートによって国ごとに価格の違いが生じる。また、現地化戦略、ライバル企業の製品価格、製造工程・方式などによって製品価格を変えるのが一般的だ。マクドナルドのように現地にフランチャイズがある場合も、国ごとに価格が異なる。このため、「ビッグマック指数」が現地の物価水準を判断する指標として使われている。全世界で同時に発売する国際企業の製品も同様だ。昨年発売されたアップルの「iPhone(アイフォーン) 15」も米国では799ドル(税込み価格で約11万7000円)だが、韓国での発売価格は125万ウォン(約14万円)だった。

崔燕真(チェ・ヨンジン)記者

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