文在寅(ムン・ジェイン)政権が住宅価格、雇用、所得関連の国家統計を改ざんしたとされる事件を捜査してきた韓国検察当局は14日、元青瓦台政策室長の金秀顕(キム・スヒョン)、金尚祚(キム・サンジョ)両氏、金賢美(キム・ヒョンミ)元国土交通部長官、姜信昱(カン・シンウク)元統計庁長ら11人を職権乱用と統計法違反などの罪で在宅起訴した。国家統計を改ざんして統計法違反の罪で起訴されたのは今回が初めてのケースとなる。

 大田地検は同日、事件の中間捜査結果を発表し、容疑者らが文政権発足直後の2017年6月から21年11月までの4年6カ月間、政府の政策に合わせ、有利な方向に統計を変え、政策の失敗を隠したり、成果として広報したりしたと指摘した。

■「住宅価格高騰すると、上昇率を抑制」

 金秀顕、金尚祚、金賢美の各氏と国土交通部関係者ら7人は、政府の不動産対策の効果で住宅価格が安定したかように見せかけるため、韓国不動産院が調査・発表する「週間住宅価格変動率」を125回改ざんした疑いが持たれている。

 検察によると、容疑者らは2016年に改正された統計法で「公表前の提供」が禁止されている「週間住宅価格変動率」を週3回青瓦台に事前報告させ、変動率が高い場合には数値を下げるよう指示したという。

 容疑者らは2018年8月24日、公表前に受け取ったソウルのアパート売買価格変動率が0.67だったことから、それを修正するよう2回にわたり指示し、不動産院は指示を受け、0.47に数値を引き下げた後、さらに0.45まで下げて公表した。週間変動率は前週比の平均的な住宅価格増減率だが、0より数値が高いほど住宅価格が大幅に上昇したことを示す。 

 不動産院の職員は事前報告が不当だとし、12回にわたり中断を求めたが、当時の金尚祚元政策室長は会議の席上、「事前報告を廃止すれば、不動産院の予算がなくなると思うが大丈夫か」と脅す場面もあった。

 容疑者らの住宅価格操作は、さまざまな不動産対策の実行と大統領就任2周年、総選挙など政治的に重要な時期の前後に集中していることが分かった。不動産院のある職員は、青瓦台と国土交通部に「週間変動率が実際の市況を反映できていない」という電子メールを送ったが、国土交通部から「改ざんの証拠を残すつもりか」と叱責を受けたという。19年11月には青瓦台公職綱紀秘書官室が「不当な外圧」に関する情報を入手し、上部に報告したが、統計改ざんは続いたという。

■雇用・所得統計を歪曲して政策広報

 金尚祚元政策室長と姜信昱元統計庁長ら4人は雇用統計の改ざんにも関与した。4人は19年10月、前年比で非正規職が約86万人急増したという調査結果が示されると、「過去と調査方式が変わったために急増した」という根拠のない理由を統計庁の報道資料に付け加えるよう指示し、統計を歪曲(わいきょく)した疑惑を受けている。 当時姜庁長は大統領府の指示通りに記者説明を行った。

 洪長杓(ホン・ジャンピョ)元経済首席秘書官は政府の所得主導成長政策にもかかわらず、18年第1四半期の世帯別所得分配不平等の数値が過去最悪の5.95だと判明すると、統計庁から個人情報が含まれた統計基礎資料を受け取り、「最低賃金引き上げ効果で個人勤労所得は不平等が改善された」として、むしろ成果に仕立て上げた。

 監査院は昨年9月、住宅価格、雇用、所得など統計を操作したとみられる22人を検察に告発した。それを受け、大田地検は青瓦台と国土交通部、韓国不動産院などの関係者100人余りを調査した。その結果、張夏成(チャン・ハソン)、李昊昇(イ・ホスン)両元政策室長ら11人を嫌疑なしとした。検察関係者は「正確な国家統計は政府の政策樹立の根幹であり、公共資源で科学的方法により中立的に作成されなければならない。政府が権力を乱用し、国家統計の正確性と中立性を正面から侵害した事案であり、厳正な処罰が必要だ」と指摘した。

キム・ソクモ記者

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