▲13日、ソウル市鍾路区の憲法裁判所で開かれた弾劾審判の8回目の弁論に出席した尹錫悦大統領(左)が、キム・ゲリ弁護士と対話を交わしている様子。/写真=憲法裁判所

 尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領弾劾審判の弁論期日を追加するかどうかについてコメントを控えていた憲法裁判所が、18日を追加期日に指定したのは、最近持ち上がっている「拙速」批判を意識した措置とみられる。「憲法裁が手続き的欠陥を無視したまま裁判終結を急いでいる」という批判が強まり、尹大統領側もこれを問題視して「重大決心をするつもり」と表明したからだ。

【早わかり】尹錫悦弾劾審判の今後の日程と展望

 13日に文炯培(ムン・ヒョンベ)憲法裁判所長権限代行は、今月18日を尹大統領弾劾審判の証拠調べ期日に定めた。証拠として採択されたのにこれまで調べが行われていない証拠を審理したいという。憲法裁は12日の時点でも、追加の期日については「決まらなかった」としか言っていなかったのに、流れがわずかに変わったのだ。また憲法裁はこの日、保守系与党「国民の力」所属議員らが禹元植(ウ・ウォンシク)国会議長を相手取って行っていた「韓悳洙(ハン・ドクス)首相弾劾定足数」関連の権限争議審判でも、弁論期日を19日に指定した。事件が受理されてから48日を経ての弁論期日指定だ。

■追加の証人尋問は行われるか

 憲法裁は14日に裁判官評議を開き、尹大統領側の追加証人を採択するかどうかについても話し合うこととした。尹大統領側は13日、韓悳洙首相と洪壮源(ホン・ジャンウォン)前国家情報院(韓国の情報機関)第1次長を再度証人として申請している。今月10日に姜義求(カン・イグ)大統領秘書室第1付属室長とパク・キョンソン前ソウル東部拘置所長、慎鏞海(シン・ヨンヘ)法務部(省に相当)矯正本部長も証人として申請済みだ。

 評議では、追加証人5人と、健康上の理由で弁論に出席できない趙志浩(チョ・ジホ)警察庁長を再び呼ぶかどうかも話し合われる。追加証人が採択されたら、証人を尋問するために、証拠調べのための期日(18日)のほかに弁論期日をもう1回取ることもあり得る。

 しかし、尹大統領側が申請した証人が全て受け入れられる可能性は低く、憲法裁が1日に証人3-4人ずつをまとめて証人尋問していることからみると、追加の期日が指定されても1回にとどまる可能性が高い。その後、国会側と尹大統領側の最終陳述を聞くために再び弁論期日を取るにしても、理論上は今月最終週には全ての弁論を終えることができる。

■評議・評決を経て決定文を作成

 弁論が終結したら、憲法裁は裁判官「評議」を通して最終決定を話し合う。通常は、主審裁判官が事件の検討内容を発表し、裁判官同士で意見を交換するという形式だ。評議を締めくくる「評決」では、弾劾するかどうかなどについて主審裁判官が意見を出し、後任裁判官から逆順に意見を出した後、裁判長が締めくくりで意見を出すのが慣例だ。尹大統領弾劾審判の主審は鄭亨植(チョン・ヒョンシク)裁判官で、裁判長は文権限代行だ。

 評決を終えたら、研究官らが資料と審理結果を要約した後、主審裁判官が多数意見を基に決定文の草案を作る。主審が少数意見だった場合は、多数意見を出した裁判官の一人が決定文作成を担当する。少数意見であっても別途提出して決定文に反映することがあり得る。通常、評議から決定文作成までは1-2週間ほどかかる。

 朴槿恵(パク・クンヘ)、盧武鉉(ノ・ムヒョン)元大統領はそれぞれ、最終弁論期日から11日後、14日後に宣告が下された。こうした前例や、憲法裁の尹大統領弾劾審判の日程を考慮すると、早ければ3月初めには言い渡しが可能だ。

■弾劾を認めたときは罷免、棄却したときは保釈と予想

 韓国憲法68条は「大統領が欠位のとき、または大統領当選者が死亡したり判決その他の理由でその資格を喪失したときは、60日以内に後任者を選挙する」と定めている。憲法裁が尹大統領に対する弾劾訴追を認めた場合、次期大統領選は早ければ5月初めに行われるものと予想される。

 弾劾訴追が棄却された場合、対象となった公職者は直ちに職務に復帰することになる。尹大統領は現在、内乱首謀容疑などで身柄を拘束されているが、弾劾が棄却された場合、保釈などで拘束を解かれる可能性が高い。車珍児(チャ・ジンア)高麗大学法学専門大学院教授は「拘束状態が数カ月にわたって維持されている状態で大統領が獄中職務遂行をするとなると、国家的に大きな混乱を招くだろう」とし「弾劾が棄却されたら大統領側から保釈を請求するはずで、防御権の保障、国政安定などの観点から裁判所が保釈を許可する可能性が高い」と語った。

キム・ヒレ記者、パク・カンヒョン記者

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