裁判
「代行の代行」体制は終わるか…韓悳洙首相の弾劾審判、早ければ週内に宣告

韓悳洙(ハン・ドクス)首相に対する憲法裁判所の弾劾審判宣告が、早ければ今週中に行われるものとみられる。宣告の結果によっては、昨年12月27日から続いている「権限代行の権限代行」体制が終わるかどうかも決まる。
【韓悳洙首相の弾劾事由と争点】法曹界の意見
憲法裁は2月10日に馬恩赫(マ・ウンヒョク)憲法裁判官候補者関連の権限争議審判、19日に韓首相の弾劾審判、25日に尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領の弾劾審判と、順次弁論を終結させた。このうち馬候補者の事件は17日後の2月27日に宣告があり、弁論終結の順番通りなら次は韓首相の事件の番だ。法曹界では「争点が複雑ではない上に追加資料の提出手続きも先週全て終えたのだから、いつでも宣告は可能」だとした。早ければ今月6日か7日ごろに宣告が下ることもあり得るという見方が出ている。
■法曹界「韓首相の弾劾は政治弾劾…棄却すべき」
法曹界では、特別な変数がない限り韓首相に対する弾劾訴追は棄却されるとの見方が優勢だ。国会側は、韓首相に対する弾劾訴追案を議決する際に▲尹錫悦大統領の内乱行為を共謀・黙認・ほう助▲国会推薦の憲法裁判官候補者の任命を拒否▲内乱常設特検の任命を回避▲金建希(キム・ゴンヒ)大統領夫人特検法などを拒否▲与党と「共同国政運営」の試み-という五つの弾劾事由を挙げた。
しかし、このうち「憲法裁判官任命拒否」を除くと、残りの事由は韓首相を罷免するかどうか判断する上で意味のある争点にはなり得ない、というのが法曹界の中心的な意見だ。車珍児(チャ・ジンア)高麗大学法学専門大学院教授は「十分に問いただすべき争点がないから、憲法裁は1回で弁論を終結させた」と指摘し「ひとえに政治的攻勢として行われた弾劾なので、棄却決定が自然」と語った。
だが、2月27日に憲法裁が崔相穆(チェ・サンモク)大統領権限代行の馬恩赫候補任命保留について「国会の選出権を侵害した」と決定した点が変数として残っている。
■「馬恩赫候補の任命保留は違憲」決定が変数
韓首相は2月19日の弁論で「与野党合意がない裁判官の任命は前例がない」と主張したが、憲法裁は馬候補者関連の事件で「そうした慣行があったとは見られない」と判断したからだ。韓首相が憲法裁判官3人の任命を保留した行為も、違憲だという判断を受ける可能性が高まったのだ。
ただし、これが弾劾に値する重大な違憲・違法なのかどうかも判断しなければならない。憲法裁は、最近宣告が行われた李真淑(イ・ジンスク)放送通信委員長弾劾審判事件で争点となった「放送通信委員2人議決」を違法行為と判断しつつも、罷免すべきほどに重大な事由ではないという理由で弾劾案を棄却した。
今週中に韓首相の弾劾棄却決定が出るならば、今月中旬から下旬ごろと予想されている尹大統領の弾劾審判宣告に先立って韓首相がまず職務に復帰することになる。ある憲法学者は「国政の空白を埋めるためにも、憲法裁が韓首相から宣告するのが正しい」としつつ「恣意(しい)的な裁判進行でたびたび物議を醸しているので、論争を避けるという観点からも、憲法裁が韓首相の事件をまず処理するのではないか」と語った。
逆に、憲法裁が韓首相への宣告を尹大統領への宣告よりも後に遅らせる可能性も、完全には排除できない。これまで憲法裁は「大統領弾劾審判を最優先で審理する」という方針をたびたび明らかにしてきた。憲法裁関係者は「韓首相に対する宣告時期は(国政の空白など)対外・対内状況まで含めて裁判官が総合的に考慮するだろう」と語った。憲法裁は三・一節の連休にも、尹大統領の弾劾審判結果と宣告日指定のため個別に記録検討を行ったと伝えられている。
■韓首相復帰時に馬恩赫候補は任命されるか?
韓首相の弾劾が棄却されて職務に復帰した場合、最初の宿題は馬候補者を任命するのかしないのかを決定することになる見込みだ。韓首相の立場から見ると、憲法裁判官候補者の任命拒否が「違憲」だという憲法裁の判断が出た状況で、ひたすら任命拒否にこだわるのは容易ではない。逆に、親野党の傾向が鮮明な馬候補者を任命した場合は尹大統領の弾劾審判に決定的な影響を及ぼしかねない、という点も大きな負担だ。政界からは「崔権限代行も韓首相が復帰することを念頭に置いて、馬候補者の任命を遅らせているものとみられる」という声が上がった。
キム・ヒレ記者、キム・ナヨン記者