▲徐柱錫(ソ・ジュソク)元国家安保室第1次長/ニュース1

 文在寅(ムン・ジェイン)政権で国防次官なども務めた徐柱錫(ソ・ジュソク)元国家安保室第1次長が、国防次官退任後もTHAAD(高高度防衛ミサイル)設置に反対する団体から「THAAD関連の作戦情報は前日に知らせる」「夜には作戦をしない」「基地周辺で電磁波を測定する」などの約束を守るよう要求され、これを受け入れていたことが18日までに分かった。検察は徐柱錫元次長をはじめ、鄭義溶(チョン・ウィヨン)元国家安保室長、鄭景斗(チョン・ギョンドゥ)元韓国国防部(省に相当)長官を在宅で起訴した。

【写真】慶尚北道星州郡の基地に搬入される4基のTHAAD発射台

 韓国法務部(省に相当)が同日、国民の力の朱晋佑(チュ・ジンウ)議員事務所に提出した一連の訴状によると、徐柱錫元次長がTHAADに反対する星州住民対策委員会の2人の委員長と会ったのは2020年1月31日前後の時期だ。この時期は徐柱錫元次長が国防次官を退任し、国家安保室第1次長に任命される前だ。この席で2人の委員長は、徐柱錫元次長が国防次官だった17年6月に交わした「陸上輸送作戦に関する情報を前日に伝える」との約束を引き続き守るよう要求し、これに徐柱錫元次長は「その約束は今後も守られるだろう」と答えたという。この席にはTHAAD関連の作戦業務を担当する韓国国防部地域協力班長のA大領(大佐)とその前任者も同席していた。A大領は前任者から「作戦の1日前通知」を指示されたが、徐柱錫元次長により長い間維持された方針であるため、異議を申し立てることはできなかったという。

 徐柱錫元次長の指示を受け、国防部関係者は2017年9月ごろから反対団体の関係者らに作戦情報を伝え始めたことが調査により分かった。このような形の情報漏えいは徐柱錫元次長が国家安保室第1次長に異動した後も続いた。反対団体は作戦情報を入手した上で、外部の職業活動家を動員し、車両などが通行する道路を事前に占拠したり、トラックに体を縛ったりするなどの方法で軍事作戦を妨害したという。作戦当日の集会参加者数は普段の4倍に達し、これに対処する警察官や機動隊員の人数も最大で49倍に増員された。

 住民の反対が続いたことで、当時の李洛淵(イ・ナクヨン)首相は「(住民との)意思疎通も重要だが、政府による公権力行使が無気力に映ってはならない。反対団体の妨害にあいまいな態度を取るのは不適切だ」として「警察官や機動隊員の移動時期を予測できる発言や、事前に認知できる発言は禁止」と指示していたという。警察も「作戦の機密保持のため、工事再開日程を住民やメディアに事前に通知しない」と表明した。これを受け国防部は追加搬入作戦を前に反対団体に事前通知をしない方針を内部で決めたが、徐柱錫元次長はこれを無視し、関係する大領を通じて作戦情報を漏えいしていた。

 検察はさらに鄭義溶元室長と鄭景斗元長官が2020年5月29日、国防部地域協力班長にTHAAD基地の誘導弾などを交換する軍事作戦情報(軍事2級秘密)をTHAAD反対団体に伝えるよう指示した疑いもあるとみて、徐柱錫元次長と共に二人を起訴した。

 THAADは2017年4月に慶尚北道星州郡に臨時配備された。当初は略式手続きとなる小規模環境評価が行われる予定だったが、文在寅政権発足直後の17年7月に長時間を要する一般環境影響評価に変更された。その後、星州郡住民の反発により環境評価協議会の発足が遅れたため、関連する手続きもストップした。環境影響評価は尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権発足後の23年6月に終了した。

 検察は昨年11月に監査院から捜査要請を受理し、今年3月まで監査院、徐柱錫元次長の自宅とオフィス、大統領記録館などを家宅捜索した。

イ・ミンジュン記者、ユ・フィゴン記者

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