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「中国は民主主義を目指すべき」 垂れ幕3枚を設置した20代男性が行方不明に /四川省・成都市
中国で、政治体制を批判する垂れ幕を設置した20代の若者が行方不明になっていることが分かった。
米政府系放送「ラジオ自由アジア(RFA)」が4月30日、報じた。それによると、4月15日未明、中国・四川省成都市内の高架道路に中国の政治体制を批判する内容の大きな垂れ幕3枚が掲げられたという。
【写真】SNSで拡散された梅世林氏の身分証と同氏が設置した垂れ幕
垂れ幕は白地に赤い文字で「体制の改革がなければ民族の復興はない」「無制限の権力を持つ政党は人民にとって必要ない」「中国には方向を提示する者は必要なく、民主主義がその方向だ」などと書かれている。
RFAは消息筋の話として、この垂れ幕を制作・設置したのは梅世林という1998年生まれの男性だと報じた。梅世林氏は成都のIT企業に勤務していたが、労働紛争に直面し、自身の悔しさを当局に訴えたが取り合ってもらえなかったことが分かった。梅世林氏は事前に知人に対し、1年間この垂れ幕を準備したことを伝えるとともに、身分証明書の写真も送り、この内容が広く拡散されることを願っていると話していたという。
RFAはこの男性が事件直後に当局に拘禁されたとみられると報じた。ただし実際に拘禁されたのか、拘禁されているとすればどこにいるのか、現在どのような状態なのか正確には確認されていない。
法律の専門家らは、中国当局がこの事件の波紋が大きくなることを警戒し「国家転覆扇動」容疑ではなく「騒乱誘発」容疑を適用する可能性が高いとの見方を示した。現在、梅世林氏に関するニュースは微博(ウェイボー)など中国のSNS(交流サイト)ではほとんど見当たらない。ただしX(旧ツイッター)など海外のSNSでは写真やニュースが拡散されている。
国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)は中国当局を批判し、即座に梅世林氏の所在を明らかにするよう要求した。HRWの中国担当調査員を務めるヤルクン・ウルヨル氏は同日「彭立発氏も拘禁されてから現在まで生死が確認されていない」として「中国政府は梅世林氏の行方を明らかにし、表現の自由を行使したとの理由で拘禁した全ての人を即座に釈放せよ」と訴えた。彭立発氏は2022年、北京市内で当時の中国の新型コロナ封鎖政策を批判し、習近平主席の退陣を要求する垂れ幕デモを行った人物だ。彭立発氏は中国当局に拘禁され、その家族も厳しい監視下にあるという。
キム・ガヨン記者