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文政権時代の青瓦台、大統領夫人の衣装代180点4億ウォン相当を「官封券」で決済【独自】
韓国の文在寅(ムン・ジェイン)前大統領の金正淑(キム・ジョンスク)夫人が着用した衣装の費用の出所を捜査しているソウル警察庁反腐敗捜査隊は2日までに、文政権の青瓦台がいわゆる「官封券」(中央銀行が帯封を付けた札束)で衣装代を支払ったという供述と資料を確保した。官封券は韓国造幣公社が韓国銀行に新券を納入する際、金額や紙幣の状態などに異常がないことを保証する意味で帯封を付けた札束を指す。政府と金融機関による取引だけに使われ、個人は受け取ることが不可能だ。
【Photo】文大統領時代に高価な衣装がたびたび話題になった金正淑夫人
青瓦台は当時、金正淑夫人の衣装代疑惑について、「特殊活動費などの政府予算を使ってはおらず、全て私費で負担した」と説明した。しかし、警察は青瓦台が特殊活動費など国家予算で夫人の衣装代を支払ったという証言などを確保し、青瓦台の特殊活動費の使用内訳などが記載された大統領記録物に対する捜索令状の交付を受け、執行に着手した。
本紙は最近、衣料業者や関係者に接触し、文政権当時の2021年11月7日、夫人側が衣装代を支払う際に使った官封券の束、夫人の衣装購入リスト、店頭端末の写真を入手した。ある有名衣料業者のテーブルに置かれた5万ウォン札の束には「韓国銀行」と書かれた帯が付いていた。200万ウォン(約20万円)を超えるジャケット、100万ウォン近いスラックスなどはいずれも夫人のためにオーダーメードされたものだった。警察は昨年から夫人に衣装やアクセサリーを販売した業者などに対する捜索を行い、夫人側が官封券で少なくとも1200万ウォンを決済したことを把握したもようだ。文政権の5年間に夫人夫人が業者から購入した衣装とアクセサリーは4億ウォン近いと推定している。このうち警察が証拠の押収などで実際に確認した金額は約1億ウォンだ。
■コート258万ウォン、ジャケット178万ウォン…カードではなく官封券で決済
「ベルベットトリミングコート258万ウォン、ヘリンボーン(V字模様を組み合わせた布)のジャケット178万ウォン、カブラスラックス(裾上げしたスラックス)88万ウォン、ブラウス88万ウォン…」
ソウル警察庁は昨年から夫人に衣装やアクセサリーを販売した業者に対する捜索や関係者の聴取などを進めてきた。その結果、警察は青瓦台が2021年6月から同年12月までソウル市江南区清潭洞にある国産有名ブランド「M」の店舗で3回にわたり3900万ウォン相当の衣装を購入したことを示す資料を入手したという。このうち夫人側が官封券で決済した金額は少なくとも1200万ウォンだ。青瓦台はこれまで「政府の費用で衣装代など私的費用を決済したことはない」「衣装はカードで購入した」と説明してきた。しかし、警察は夫人側が国家予算で編成される特殊活動費で衣装代を決済したという元青瓦台職員の証言を確保し、それを確認するために特殊活動費の使用内訳が記載されている大統領記録物の押収を進めている。
本紙が入手した夫人の衣装購入リストには、258万ウォン相当のコート、178万ウォン相当のジャケット、78万ウォン相当のスラックス、68万ウォン相当のブラウスなどが書かれている。「直し料X」「ペチコート贈呈(無料)」という文言もあった。警察も同じ資料を確保し、業者関係者に対する調べを進めてきたという。夫人側が同業者で決済した総額は3958万ウォンだ。
購入内訳が表示された店頭のコンピュータ画面には、夫人のための「オーダーメード衣装製作」という文言と共に顧客名「金正淑」愛称「令夫人-ヤン○○氏」などと書かれていた。フランス国籍のヤン氏は夫人が頻繁に依頼していたデザイナーの娘で、2017年に青瓦台に採用され、5年近く総務秘書官室の事務要員として勤務した。夫人の衣装、儀典を担当したヤン氏はその間、父親の海外ブランド事業にも関与し、優遇採用・違法兼業を巡る論争が起きた。警察は夫人がヤン氏の父親の業者からも数回衣装を購入した事実を確認したという。
夫人は官封券で購入したブランド「M」の衣装を文前大統領の海外歴訪などで数回着用した。夫人は2021年6月、文前大統領のG7(主要7カ国)首脳会議に伴う歴訪に同行し、同ブランドのジャケットとスカートを着用した。当時一部のメディアは「若々しく軽快なイメージ」「最近の若い女性が好んで着る洗練されたファッション」などと評した。同年11月のG20(主要20カ国・地域)首脳会議など欧州歴訪では、ローマのハングル学校を訪問し、同ブランドの服を着た。歴訪を終えて京畿道城南市のソウル空港に到着した際にも同ブランドのツーピーススーツを着ていた。
警察はまた「Y元第2付属室秘書官とヤン氏が夫人の衣装代などを支払うため、特殊活動費を100万~200万ウォン請求した」との趣旨の証言を確保しているもようだ。Y元秘書官とヤン氏は文前大統領の娘ダヘ氏に現金を送金した疑惑でも検察の捜査を受けてきた。警察は以後、青瓦台特殊活動費の使途について、非公開の大統領記録物と照合する必要があると判断し、3月12日に大統領記録館に対する捜索令状を申請し、交付を受けた。
警察はブランド「M」を含め洋装・韓服・靴店など10余りの有名ブランドに対する捜索や聴取を行ったとされる。業者側は警察の聴取に対し、「夫人側が領収書処理なしで全額現金で衣装代や靴代を払った」と証言したとされる。しかし、夫人の衣装代問題が浮上した2022年3月、卓賢民(タク・ヒョンミン)青瓦台儀典秘書官(当時)は、ジャーナリスト金於俊(キム・オジュン)氏のラジオ番組に出演し、「特殊活動費疑惑は明らかなフェイクニュース」だとし、「衣装代はカードで購入した」と主張した。
ク・アモ記者、カン・ジウン記者、キム・ミョンジン記者