進歩(革新)系の「共に民主党」が7日、国会行政安全委員会を開催し、虚偽事実公表罪の構成要件から一部を削除する内容の公職選挙法改正案を処理する。6日に同党が明らかにした。この改正案は、選挙候補者が「行為」についての虚偽事実を公表したとしても処罰しないようにする内容を骨子としている。

【虚偽事実公表例】国政監査で「国土交通部に脅迫された」と答弁する李在明候補(2021年10月)

 これは、李在明(イ・ジェミョン)大統領選候補の選挙法違反事件を念頭に置いたものだという。最近、大法院(最高裁に相当)は李候補がペクヒョン洞事業などに関連してうそをついたという疑いを認め、有罪の趣旨で事件を破棄差し戻しとしたが、選挙法を改正してその処罰根拠をなくそう、というのだ。改正案が発効したら、李候補は免訴(法条項破棄で処罰できない)判決を受けることもあり得る。

 また民主党は、同じく7日に国会法制司法委員会で、大統領当選時に進行中の裁判を全て中止するという刑事訴訟法改正案も処理することとした。李候補の司法リスクを除去する「防弾法案」を全部押し付けて、いつでも本会議で最終通過させられる状態にするつもりなのだ。6・3大統領選挙で李候補が当選し、その後に法案を本会議で処理すれば、拒否権行使なしに施行できる。

 民主党は7日に行政安全委の全体会議を開き、去る2日に辛正勲(シン・ジョンフン)議員が代表発議した公職選挙法改正案を職権上程して単独で処理する計画だ。先に李候補は、選挙法上の虚偽事実公表の容疑で起訴されて一審で懲役1年・執行猶予2年の刑を、控訴審で無罪を言い渡されたが、今月1日に大法院で有罪の趣旨で破棄差し戻しとなり、ソウル高裁で裁判を受けている。破棄差し戻し審で罰金100万ウォン(約10万3000円)以上の刑を宣告されて大法院でこの判決が確定した場合、大統領に当選してもその職を失う。

 だが、刑が確定する前に虚偽事実公表罪の条項の文言を削除する選挙法改正案が確定・公布されたら、有罪の根拠がなくなるので、処罰できない可能性が高い。裁判の途中で法が被告人に有利に変わった場合は新法の条項を適用するように定めてあるからだ。辛正勲議員は、本紙の取材に対して「現在進んでいる裁判については適用可能だと思う。李候補の破棄差し戻し審にも適用可能だろう」と語った。

 民主党の院内指導部は「改正案の内容的な面でも、職権上程・単独議決に伴う手続き的な面でも、(保守系の旧与党『国民の力』の)大きな反発が予想されるだけに、全員出席を要請する」と、内部で告知ショートメールも送信した。

 さらに民主党は、国会法制司法委員会では「大統領の任期終了時まで公判を停止」する刑事訴訟法改正案を、小委員会の審査を経て7日に全体会議まで処理し、大法官(最高裁裁判官に相当)の定員を30人に増やす裁判所組織法改正も推進する方針だ。李明博(イ・ミョンバク)政権時代の法制処長を務めた李石淵(イ・ソクヨン)民主党共同選挙対策委員長はこの日、「刑事裁判の70%が本案判断なしに7文字(審理不続行棄却)で終わっている」とし「14人の大法官の数を増やすべき」と述べた。大法官の増員は、民主党が大法院の破棄差し戻し決定後に「内乱特別裁判所設置」などと共に検討している内容だ。

 これと共に民主党は、曺喜大(チョ・ヒデ)大法院長=最高裁長官に相当=に対し「李候補の裁判を選挙後に先延ばしすべき」と要求するなど、圧力を加え続けてきた。また、今月15日に予定されているソウル高裁の選挙法違反事件破棄差し戻し審初公判に李候補が出廷するのは難しいだろう、とする立場も示した。李建台(イ・ゴンテ)民主党選対委スポークスマンは6日、曺大法院長が李候補の選挙法違反事件に関連して破棄自判(原審を破棄した後に大法院が直接判決すること)を検討したかどうか明らかにせよ、と主張した。李スポークスマンは「曺大法院長が破棄自判を要求したが他の大法官が『それだけは駄目だ』と拒否したのではないか」と述べた。法曹界からは、こうした要求は裁判所組織法65条で定める審判合議非公開の原則に違反するものだという指摘が出ている。国会法司委員長の鄭清来(チョン・チョンレ)議員はフェイスブックに「曺大法院長の大統領選介入司法クーデター真相調査のための聴聞会を法司委で開催する考え」と書き込んだ。

シン・ジイン記者、兪鍾軒(ユ・ジョンホン)記者

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