事件・事故
共に民主党「李在明暗殺・テロ情報提供あった7件を警察が捜査中」主張に警察「そんな事件はない」
韓国最大野党・共に民主党は連日、「李在明(イ・ジェミョン)大統領選候補に対する『暗殺・狙撃・テロ』の情報提供があった」と主張しているが、李在明候補の身辺を脅かすような事件の情報は実際には警察にないことが15日、明らかになった。
【写真】李在明候補の警備に動員された警察犬
共に民主党の関係者は最近、相次いで「李在明テロ説」を主張している。同党・中央選挙対策委員会の趙承来(チョ・スンレ)首席広報担当は11日、ソウル・汝矣島の党本部で記者団に対し「李在明候補に対するテロの脅威が高まっている状況を受け、金民錫(キム・ミンソク)常任選対委員長を団長とするテロ対策対応チームをつくった」とした上で「『(狙撃用の)ロシアの小銃が密輸入された』という信ぴょう性のある話がある」と言った。趙承来広報担当はテキストメッセージでこうした内容の情報提供を受けたと話している。
また、同党中央選対委の陳声準(チン・ソンジュン)政策本部長は13日、CBSラジオの番組に出演し「警察が暗殺テロ情報の提供のあった7件について捜査している。党にはそれをはるかに上回る情報提供が寄せられている」「射程距離が2キロメートルに達するという、狙撃用の『怪物小銃』が密輸入されたという情報提供があった」と語った。
共に民主党の関係者らは李在明候補のテロに「特殊要員」が動員された可能性も取り沙汰している。全賢姫(チョン・ヒョンヒ)共同選対委員長は14日の党中央選対委会議で「ロシア製拳銃・狙撃銃の密輸、ブラック要員の動員など、具体的な状況が含まれているテロ情報の提供が相次いでおり、今は看過できない非常事態だと言える」「同じ銃器による暗殺テロに直面したドナルド・トランプ米大統領のように、選挙演説現場に防弾ガラスを4面設置することを含め、あらゆる対策を講じなければならない」と言った。また、李政憲(イ・ジョンホン)遊説本部長は14日、MBCラジオで「北派工作部隊要員(韓国から北朝鮮へ極秘裏に派遣される工作員=HID)OB要員で構成された特殊チームが稼動している可能性がある」とも述べた。
しかし、警察は李在明候補の身辺を脅かす事件の情報などはないと言っている。与党・国民の力のナ・ギョンウォン共同選対委員長が警察庁から提出を受けた資料によると、14日現在で李在明候補の身辺を脅かすような告訴・告発・陳情などは1件もないとのことだ。警察が国会に提出した公文書で李在明候補に対する暗殺・狙撃・テロ事件の受け付け内訳を明らかにしたのは今回が初めてだ。
「李在明候補に対する暗殺・狙撃・テロ説について警察が認知しているかどうか、事実関係の把握を試みたかどうか、捜査着手・進行の現況」などについて尋ねると、凶悪犯罪事件捜査を担当する警察庁刑事局強力犯罪捜査課は「警察庁に告訴・告発・陳情などがあった事件はない」と答えた。つまり、李在明候補や共に民主党側が提供を受けたと主張している暗殺・狙撃・テロ情報は警察に届け出がないか、または届け出自体が警察に受理を拒否された可能性があるということだ。
また、「ロシア製拳銃暗殺情報・狙撃用小銃密輸入情報」について警察の情報収集があったのか」という質問に、犯罪情報などを収集する警察庁捜査局犯罪情報課は「収集情報はない」と答えた。
ナ・ギョンウォン共同選対委員長は「警察などの徹底した捜査で李在明候補の情報提供に対する真偽を明らかにし、うそだったら国民を相手に詐欺をしたことに関して厳しく責任を問わなければならない」「(虚偽の情報提供なら)存在しないテロをつくり出し、存在する罪を覆い隠すのが『李在明式の政治』だ」と批判した。
これに対し、共に民主党「李在明テロ対応タスクフォース(TF、作業部会)」所属の夫勝粲(プ・スンチャン)議員は15日、SBSラジオの番組で、李在明候補に対する暗殺・狙撃・テロ情報提供の信ぴょう性について「われわれが一つ一つファクトチェックをすることはできない。こうしたテロの試みそのものはファクトチェックが可能な領域ではない」と言った。その上で「われわれは最悪の状況に備えており、可能な手段や方法を全て動員する」「警護に関する部分ついては具体的にファクトチェックできないことをご理解いただきたい」と述べた。
李世永(イ・セヨン)記者