社会総合
ハワイのハレアカラ山みたいな気象条件…針葉樹林が枯死、亜熱帯化する済州・漢拏山
5月14日午後、済州道の漢拏山のツツジ畑(海抜1500メートル)からソンパン岳に向かう登山路を訪れた。青い森には、白く枯れたチョウセンシラベがまるで白いペンキで塗られたかのように倒れており、その数は全体のほぼ半数を占めていた。マツ科のチョウセンシラベは寒い所に生息する樹木で、海抜1000メートルを超える漢拏山や智異山、徳裕山の高原地帯に自生する。1918年、漢拏山にはチョウセンシラベの森が汝矣島の面積(290ヘクタール)の約4倍(1168ヘクタール)にまで広がっていた。しかし、温暖化の影響で現在はチョウセンシラベの生息面積が606ヘクタールへと半減した。うっそうと生い茂っていた針葉樹林がまるで白骨化したかのように見える。
【写真】 漢拏山に生息するチョウセンシラベとブナ科のヤドリギ
気候の変化で済州道の気温が上昇し、海抜の高い漢拏山でも暖・温帯林などの森林が年々北上している。漢拏山は高度別に暖帯林(海抜600メートル未満)、温帯林(600-1200メートル)、冷温帯林(1200-1500メートル)、亜高山帯針葉樹林(1500-1950メートル)と区分され共存してきたが、こうした特色が消滅しつつあるのだ。
最近の漢拏山の温暖化を示す代表的な植物としては「チョウセンシラベ」と「ブナ科のヤドリギ」が挙げられる。チョウセンシラベは韓国固有の樹種だ。1920年、英国の植物学者アーネスト・ウィルソンが漢拏山と智異山で観察したチョウセンシラベを学界で報告したのをきっかけに、知られるようになった。米国や欧州に輸出されるなど、品種改良を経てクリスマスツリーとして愛用される樹種となったが、温暖化の影響で枯死が増えている。
海抜1200-1600メートルの北斜面(北側に向かって傾斜した面)に主に分布しているチョウセンシラベは、漢拏山だけでここ100年間に48%が消滅した。現在、漢拏山のチョウセンシラベのうち枯れ木が占める割合は28.2%で、智異山(22.9%)、徳裕山(25.3%)に比べてその割合は高い。山林科学院は、2016年からチョウセンシラベの絶滅を防ぐため、西帰浦市南元邑ハンナム里にあるサリョニオルムの森林に4.6ヘクタールのチョウセンシラベの保存区域を造成し、管理している。
ブナ科のヤドリギは、ブナ類を宿主とする亜熱帯性寄生植物だ。宿主の木に付いて水分と無機養分を吸収しながら生きていく。成長速度は遅いものの、一度定着すれば宿主の樹木が枯れるまで共に生息することが分かっている。韓国立山林科学院の暖帯・亜熱帯山林研究所によると、1980年代に西帰浦市孝敦川下流の海抜100メートル以下の低地帯で数本が観察されていたに過ぎなかったヤドリギは、2010年代に海抜220メートル以上に生息地を変え、現在では漢拏山の中腹部(海抜600-900メートル)にまで拡大した。山林科学院のイム・ウンヨン博士は「ブナ科のヤドリギは日差しを好むため、宿主であるブナ類にくっ付いて成長し、日当たりのいい空間に向け拡大する」と説明している。
温暖化が進めば進むほど、地球全体は赤道付近の低緯度の気候的特性を帯びるようになる。韓国では最南端の済州島が温暖化に最もさらされている。済州島の気候は温帯から暖帯へと移行し、現在では亜熱帯化しつつある。気象庁は2021年、済州島の亜熱帯気候圏への進入を宣言している。
漢拏山は9000キロ離れたハワイのマウイ島の最高峰であるハレアカラ山(3055メートル)に近づきつつある。済州島(北緯33.5度)とハワイ(北緯20.8度)は緯度が12.7度も違っているにもかかわらず、気象条件と海洋条件は年々似通った傾向を見せつつある。1990年代の済州島の海面温度は16-24度、マウイ島は24-27度だった。その後30年にわたってマウイ島の海水面の温度はほぼ一定を保ってきたのに対し、済州道は16-27度へと上昇。真夏の海水温度はほぼ同水準を示すようになった。2020年代の夏季の平均気温もマウイ島が30-31度、済州島が29-30度とほとんど変わらない。
熱帯気候で冬のないマウイ島のように、済州道も年平均の寒波日数(氷点下12度以下)が1924-53年の平均5.9日から、1994-2023年の平均1日へと減少した。済州道の気象学的な冬季は1920年代の平均「36日」から2000年代以降は「0日」となり、冬が姿を消してしまった。冬季の気象学的な定義は「1日の平均気温が5度未満に下がった初日から最後の日まで」だ。
済州=パク・サンヒョン記者