▲共に民主党の李在明(イ・ジェミョン)大統領候補と鄭銀敬(チョン・ウンギョン)総括選対委員長(5月7日撮影)。写真=聯合ニュース

 李在明(イ・ジェミョン)政権の保健福祉部(省に相当)長官として有力視されていた鄭銀敬(チョン・ウンギョン)元疾病管理庁長に関して、夫の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)関連株投資疑惑がこのほど浮上し、候補者グループから事実上、除外されていたことが分かった。新型コロナ防疫のシンボルだった人物が、同感染症を通じた家族の私益追求疑惑で足を引っ張られた形だ。

【写真】英BBC「今年の女性100人」タイム誌「世界で最も影響力のある100人」に名を連ねた鄭銀敬・疾病管理本部長

 政界や政府関係者が20日に明らかにしたところによると、韓国大統領室がこのほど、保健福祉部長官の有力候補者である鄭銀敬・元庁長に関して人事検証を実施した際、夫が新型コロナ大流行時に検査キットやマスク・メーカーなどの新型コロナ関連株を購入し、かなりの利益を上げていたことを確認したという。しかも、鄭銀敬元庁長が大統領室に提出した釈明資料と、夫が実際に手にした金額にはかなり大きな違いがあったことも分かったとのことだ。

■鄭銀敬元庁長が「検査キット使用・マスク着用」を呼びかけるや、夫は関連株を購入

 鄭銀敬元庁長は2017年、文在寅(ムン・ジェイン)政権で疾病管理本部長を務めたのに続き、2020年の疾病管理庁昇格とともに初代庁長に任命され、2022年5月までの約2年間、新型コロナ防疫を陣頭指揮した。定例記者会見を毎日開いて国民の不安を鎮め、「鄭銀敬の言葉はすなわち政府見解」と評されるほど人々から強い信頼を得た。今回の大統領選挙では共に民主党中央選挙対策委員会の総括選対委員長も務めた。

 ところが、鄭銀敬元庁長が国民にマスク着用や自己検査キットの使用を呼びかけていた時期に、その夫は関連品を生産する企業の株を買っていたことが明らかになった。鄭銀敬・元庁長と夫は2人とも家庭医学科専門医で、ソウル大学医学部を卒業し、ソウル大学病院で共に専攻医課程を修了した。

 鄭銀敬・元庁長が在職していた2017-22年の公職者資産登録事項には、夫名義で手指消毒剤(手指洗浄剤)の原料であるエチルアルコール生産企業「チャンヘ・エタノール」株約5000株を保有していると記載されていた。2022年10月のメディア報道で報じられて批判を浴びたが、夫が当時保有していた新型コロナ関連銘柄はその他にもさらにあったことが今回の人事検証で明らかになったものだ。また、鄭銀敬・元庁長がこのほど大統領室に提出した資産関連資料にも一部漏れがあったり、実際の受取額より少なく記載されたりしていたという。

 大統領室はこのような株取引が単なる資産形成の次元を越え、公職者の利害衝突問題につながる素地があると判断したと言われている。大統領室のある関係者は「鄭銀敬本人は防疫の象徴だったが、夫が新型コロナで金もうけしていたとすれば、納得する国民がいるだろうか」「『鄭銀敬は絶対にダメだ』というのが現在の竜山(大統領室)のムードだ」と語った。

 2022年から施行された「公職者の利害衝突防止法」は、公職者本人はもちろん、夫や直系家族が職務に関連する経済活動をする場合、事前に申告したり職務を回避したりしなければならないと規定している。特に、職務上得た情報を利用して家族が利益を得た場合、刑事処罰または過料賦課の対象になる。公職者倫理法も利害衝突が懸念される企業の株評価額が3000万ウォン(約320万円)を超えた場合、2カ月以内に売却したり白紙委任信託したりしなければならない。

 鄭銀敬元庁長は当時、国家防疫政策の方向性に関して総括していた責任者であり、マスク・検査キットは当時の国民生活に直結する品薄品目だった。このため、該当情報を手に入れやすい地位にいた人物が、夫名義で関連株を購入して利益を得たということ自体が法の趣旨に真っ向から反するとの指摘がある。

 事実、尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権で初の疾病管理庁長を務めた白敬蘭(ペク・ギョンラン)前庁長も同様の問題が浮上し、就任7カ月後に辞任した。白敬蘭・前庁長は夫が保有している一部バイオ関連銘柄を職務関連性の通知直後に売却したが、本人名義でもSKバイオサイエンス株やシンテカバイオ株などを保有して批判された。また、実弟が新型コロナ検査キット生産業者の社外取締役に応募した際、「姉は疾病管理庁長だ」と履歴書に書いていたことが明らかになり、世論が急激に悪化した。

ヨム・ヒョナ記者

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