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 全国裁判官代表会議が30日に会議を開き、大法院(最高裁)における李在明(イ・ジェミョン)大統領の公職選挙法違反事件破棄差し戻し判決で触発された政治権力の司法府圧迫が不当かどうかなどに関する案件を話し合ったものの、きちんとした結論を下すことなく全て否決した。

【表】全国裁判官代表会議の票決結果

 法曹界からは「裁判官代表らが政権勢力の顔色を見て、『司法府揺さぶり』に対して声を上げることもできずにいる様子だ」という声が上がった。

 裁判官代表会議は、30日午前に裁判官代表126人中90人が出席して、大法院全員合議体の李大統領の裁判と判決および司法の信頼問題などに関する五つの案件について投票したが、全て否決したことを明らかにした。裁判官代表会議側は「激しい議論を行ったが裁判官代表らの間で意見が対立し、どの案件も議決要件を充足できなかった」と発表した。

 裁判官代表会議によると、一部の裁判官代表らは「李大統領に対する大法院の判決で司法の信頼が毀損(きそん)され、意見表明が必要」と主張したが「裁判の独立に対する政界の侵害の恐れに関する意見表明が必要」という代表らもいたという。また「進行中の判決や、手続きの進行の当否に関する見解表明と見なされかねないものは自制すべき」という主張もあった。裁判官代表らの間で意見が食い違い、一致した結論もなく会議はわずか2時間で終了した。

 具体的には「裁判官に対する特別検察官、弾劾、聴聞手続きなどを進めることは司法権の独立を深刻に侵害するもので、再発防止を求める」という案件を巡って、裁判官代表16人が賛成し、67人が反対した。5月に大法院が李大統領の裁判で有罪趣旨の破棄差し戻し判決を下した後、共に民主党は大法院長の弾劾や特別検察官、聴聞会などを推進して司法府攻撃に乗り出したのだが、これに対して事実上沈黙したのだ。

 法曹界のある人物は「裁判の独立を守ってきた裁判官代表会議が自らの役割を果たさなかった」「判事たちが政権の顔色をうかがい、自ら横たわったのではないか」と語った。

 「大法院判決が裁判所の政治的中立性と裁判の手続き的正当性に対する疑念を呼び起こし、司法の信頼に否定的な影響を及ぼしたことについて厳重に認識する」などの内容の案件は、裁判官代表29人賛成、56人反対で否決された。一部の判事たちが「李大統領に対する大法院の裁判や判決は間違っている」として出した案件だが、多数の代表がこれに同意しなかったのだ。

 このほか「政治の司法化」現象に対する懸念、裁判独立の保障強化など、関連の案件も全て否決された。

 先に裁判官代表会議は、6・3韓国大統領選挙前の5月26日、李大統領選挙候補(当時)に対する大法院の裁判と判決について議論したいとして会議を開いたが、大統領選挙に及ぼす政治的影響などを懸念して特に結論もなく先送りし、6月30日にあらためて会議を開いた。

パン・グクリョル記者

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