▲韓国軍合同参謀本部の金明秀(キム・ミョンス)議長、米統合参謀本部のケイン議長、自衛隊の吉田圭秀・統合幕僚長。3人は11日に行われた2025年度韓米日合同参謀本部議長会議後に京畿道平沢市の海軍第2艦隊司令部を訪れ、作戦状況について報告を受けた。/韓国軍合同参謀本部

 李在明(イ・ジェミョン)政権発足後初となる韓米日3カ国の合同参謀本部議長会議が11日に開かれた。しかし同日発表された3カ国の共同発表文には、昨年と異なり中国の攻撃的行動や台湾問題に対する文言は全くなかった。ある韓国政府関係者は「中国や台湾に関する直接の言及を抜いたのは確かに韓国だ」と認める一方で「『地域の平和と安定』という言葉の中にその問題も含まれていると判断した」と説明した。中国の脅威に共同対応を目指す米国や日本と、この問題に沈黙し南北関係の復元などに集中したい韓国のデカップリング(分離)が始まったとの懸念も浮上している。韓米両国が協議を始めた戦時作戦統制権移管をめぐる議論もこの流れを加速させる可能性がある。

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 ダン・ケイン米統合参謀本部議長は11日、ソウル市竜山区の合同参謀本部庁舎で行われた韓米日3カ国合同参謀議長会議で「現在、北朝鮮と中国は前例のないレベルの軍事力増強を進めている」とした上で「我々は我々の決意を示し、パートナーシップをより創造的かつ積極的に発展させねばならない」と発言した。米国による中国けん制に韓国や日本にも参加を求めたとみられる。ところが会議後に発表された3カ国共同文書には例年と異なり中国に対する直接の言及はなかった。中国関連とみられる内容は「地域の平和と安定に向け3カ国協力をさらに深めるさまざまな方策について集中的に協議を行った」との文言だけだった。

 昨年日本で開催された同じ会議後の共同文書には「南シナ海など地域における不法な海上領有権主張を認めさせようとする中国の危険で攻撃的な行動の増加」を懸念し「力による一方的な現状変更の試みに反対する」との文言があった。「(3カ国は)台湾海峡の平和と安定維持の重要性を強調し、台湾海峡問題の平和的解決策を促す」との内容もあった。

 北朝鮮関連の文言も変わった。昨年の共同文書で3カ国は「北朝鮮とロシアの軍事協力強化を強く非難」した。ところが今年の文言は「北朝鮮によるロシア派兵やロシアから北朝鮮への軍事技術移転の可能性についても意見交換した」にとどまった。「強く非難」が「意見交換」に変わったのだ。ある韓国軍関係者は「中国、ロシア、北朝鮮に対する現政権の考えを反映する形で文言が変更された可能性が高い」との見方を示した。梨花女子大学の朴元坤(パク・ウォンゴン)教授は「台湾海峡問題などについて李在明政権は米日との立場の違いをある程度のレベルで示したと解釈できる」とコメントした。

 李在明大統領は選挙前の今年5月、米タイム誌とのインタビューで「中国が台湾を侵攻した場合、台湾を支援するのか」との質問に「宇宙人が地球を侵略したら、その時に回答を考えてみる」と答えた。ある遊説の際には「台湾と中国が戦うことと我々に何の関係があるのか」と発言した。さらに韓米同盟の発展や韓米日協力と同時並行で「中国やロシアとの関係改善」も公約として掲げた。

 李在明大統領のこのような認識が一層明確になる中、韓国政府と米国政府が進める戦時作戦統制権移管に向けた協議が一気に進展した場合、在韓米軍の規模や役割の見直しにも影響する可能性が高い。韓国軍への戦時作戦統制権移管が現実となった場合、米国防総省は在韓米軍の兵力縮小、さらに陸軍中心から空軍や海軍中心への再編成なども検討している。別の韓国政府筋も「在韓米軍縮小が懸案として浮上している」と認めた上で「今後も協議を進めていきたい」と述べた。中国けん制に韓国が今後もあいまいな態度を取り続けた場合、米国は在韓米軍兵力や兵器のほとんどを、中国けん制により積極的な日本の在日米軍基地、あるいはインド太平洋地域の別の基地に移動させる可能性が高い。

 一方で日本の自衛隊は今後の在日米軍司令部と自衛隊との共同作戦に備え、今年3月に陸上・海上・航空自衛隊を一元的に指揮する統合作戦司令部を発足させた。日本は東アジア地域を一つの戦区として戦力を一元的に運用する「ワン・シアター」の概念を米国に提案し、オーストラリアやフィリピンからも前向きな反応を引き出している。米国、日本、オーストラリア、フィリピンは4カ国による非公式の安全保障協議体「スカッド」を年内に形にする計画だという。韓国軍のある予備役将校は「米国と共同で作戦する韓国の能力を日本は今、手にしようとしているが、韓国は今持っているものも捨てようとしている」と懸念を示した。

ヤン・ジホ記者

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