▲故・朴元淳元ソウル市長を美化したとして論議を呼んだドキュメンタリー映画『初弁論』のポスター/インターネットから

 故・朴元淳(パク・ウォンスン)元ソウル市長の死を扱ったドキュメンタリー映画「初弁論」の製作者に対し、事件の被害者が損害賠償を求めた訴訟で、ソウル南部地裁は14日までに、1000万ウォン(約107万円)の賠償を命じる原告一部勝訴の判決を言い渡した。問題のドキュメンタリーは朴元市長が部下に対するセクハラ行為に及んだ事件に関するもので、パク元市長を擁護する内容となっているため、「被害者に対する二次加害」だという批判を受けてきた。

 これに先立ち、事件被害者はドキュメンタリーを製作したキム・デヒョン監督とドキュメンタリー製作委員会「朴元淳を信じる人々」を提訴していた。

 ソウル南部地裁はまた、ドキュメンタリーの上映、配布を制限し、それに違反して上映する場合、被害者に1回当たり2000万ウォンを支払うよう命じた。映画をオンライン、オフラインで上映すること、ストリーミング配信、ダウンロードなどのサービスも認めないとし、関連広告も制限した。

 このドキュメンタリーは全般的に「被害者の主張は歪曲(わいきょく)されたものだ」という内容となっている。上映を推進した朴元市長の支持者は元市長がむしろ被害者であり、ドキュメンタリーは「防御権の行使」だという論理も展開してきた。しかし、ソウル南部地裁は「被告らがこの事件の映画を製作した主な目的や動機が公共の利益のためとは見なし難い」とし、「(ドキュメンタリーは)故人の加害行為の事実を縮小、否定するために製作したとみられる」と指摘した。さらに、「被告らが映画に摘示された事実が真実だと信じるように至った妥当な理由もない。『何の誤りもない故人を死に至らしめた』という非難も含んでおり、被害者の社会的評価を著しく低下させる」とした。

 人権委は文在寅(ムン・ジェイン)政権当時の2021年、朴元市長によるセクハラ行為の被害者の主張の大半を事実と認定した。大法院も先月、人権委の決定が正当だと判断した。それに先立ち、2023年9月、裁判所はソウル市とセクハラ被害者がキム監督と「朴元淳を信じる人々」を相手に申し立てた上映禁止の仮処分申請でソウル市と被害者の要求を認める決定を下した。

キム・ドヨン記者

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