▲グラフィック=朴祥勛(パク・サンフン)

 北朝鮮が、ロシアから攻撃無人機(ドローン)の技術移転を受けたのに続き、間もなく自国内の工場でこのドローンを生産する可能性が高いことが分かった。ロシアが北朝鮮に移転した「ゲラン2」ドローンは、イランの「シャヘド136」ドローンが原型だ。ロシアのウクライナ攻撃、イランのイスラエル攻撃に使われた自爆ドローンが韓国の安全保障を脅かすようになったのだ。国際社会で「不良国家」に分類されるロシア・イラン・北朝鮮3カ国のドローン技術コネクションが欧州や中東、東アジア(韓半島)に地政学的リスクを輸出している、という指摘もある。

【写真】イラン製の自爆ドローン

 ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領の大統領府長官を務めるアンドリー・イェルマーク氏は1日、ロシアと北朝鮮の密着に関連して日本とテレビ会議を行ったとし「ロシアが平壌に(イラン製)シャヘド136型自爆ドローンの技術を移転し、北朝鮮内にドローン生産施設を構築して、ミサイル開発にまで協力している」とソーシャルメディア上で明かした。ロシアが、単に北朝鮮にドローン技術を移転してドローンの運用戦術訓練を施すにとどまらず、北朝鮮にドローン生産施設を共同構築したというのだ。先にウクライナ国防情報局(DIU)のキリーロ・ブダノフ局長は今年2月、本紙のインタビューで「北朝鮮はロシアのドローン技術の移転を受けるだろう」と予告し、6月には「ロシア版シャヘドである『ゲラン』ドローンの生産施設を北朝鮮内に構築するための合意が行われた」と明かした。金正恩(キム・ジョンウン)総書記も、軍部隊に「各種自爆型無人機も、もっとたくさん開発・生産すべき」と指示したことがある。

 北朝鮮は最近、平安北道のパンヒョン飛行場一帯にドローンの生産および試験飛行施設を構築し、ロシアに派遣されてドローン製造について学んできた労働者がここに投入されたといわれている。7月には、北朝鮮に派遣されたロシアの教官陣が元山や平壌付近で北朝鮮軍特殊部隊に一人称視点(FPV)自爆ドローンの操縦法を訓練している―との報道もあった。ロシア軍はこの過程で、ウクライナ戦争で習得した戦術とノウハウを伝達している―とウクライナのメディアは伝えた。ドローンの設計・生産から実戦での活用法まで全てをパッケージにして伝授している、というわけだ。

 北朝鮮が生産することになるドローンは全長およそ3メートル、重さは200キロから250キロ。最大50キロの弾頭を積み、時速180キロから200キロのスピードで最大2500キロ飛ぶことができる。プロペラではなくロケットエンジンを積んだ改良型はスピードが時速500キロに達する。北朝鮮内のどこから発射しても、韓半島と日本全域はもちろん在日米軍基地にまで飛来・攻撃できる。シャヘドは騒音が大きくてスピードは遅く、探知と迎撃は難しくない。だが、安い単価で大量生産が可能だ。「群集攻撃」を通して敵国の地対空ミサイルを急速に枯渇させることができる、という意味だ。今年6月だけで、ロシアはウクライナ全域で少なくとも2736機のシャヘドを飛ばした。当時、ウクライナ空軍は「2万ドル(現在のレートで約290万円。以下同じ)程度のドローンを迎撃するために1発数百万ドル(100万ドル=約1億5000万円)する高価な地対空ミサイルを使わなければならない」と苦しい状況について打ち明けた。

 新アメリカ安全保障センター(CNAS)は最近、報告書を通して「イランの武器技術がロシアを経由して北朝鮮に流れていく状況は、単純な武器取引ではない『戦略的拡散』の性格を持つ」と分析した。技術と実戦経験を結合した「致命的取引」が行われており、その背景には欧州・中東の地政学的危機を東アジアに拡散し、米国とその同盟を混乱に陥れようとする戦略がある―というのだ。CNASは、中国まで含めてこの4カ国を「動乱の枢軸(Axis of Upheaval)」と命名した。

 軍事・安全保障の専門家らは強い懸念を示している。NATO(北大西洋条約機構)関係者は「ウクライナ戦争とイスラエル・イラン戦争で多くの民間人の命を奪った武器が、韓半島に登場しかねないという意味」だとし「従来の先端防空網が(ドローン防衛において)困難に直面しているのを見たら、深刻な問題」と述べた。米国ワシントン・ポスト紙も「北朝鮮が急速にドローン戦力を強化しかねない」とし「米国の軍事技術拡散防止政策は構造的に失敗した」と指摘した。

パリ=鄭喆煥(チョン・チョルファン)特派員

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