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3500億ドル投資の見返りに無制限通貨スワップ 韓国政府がトランプ政権に要請
韓国政府が米国に対し、3500億ドル(約52兆円)投資の見返りに無制限の通貨スワップを要請したことが分かった。巨額のドルを短期間で調達した場合、ウォン暴落など為替市場に大きな影響が避けられないとの判断からだ。
韓国政府の複数の高官が14日に明らかにした。それによると韓米両国の財政当局は現在の通貨スワップを含む投資の方策について協議を行っているという。通貨スワップとは韓国がウォンを使って米国からドルの融資を受ける「交換約束」で、外国為替市場の衝撃を和らげる一種のセーフティーネットの役割を果たす。
【表】3500億ドルの対米投資を巡る韓米の主張の違い
韓国政府は今年7月の関税交渉妥結の際、韓国からの投資の多くが「保証」の形になると説明した。保証とは資金提供ではなく「問題が生じた時の返済」を約束するもので、短期間で巨額のドルを必要とする事態にはならないため、韓国の負担はかなり小さくなる。しかしトランプ政権は保証ではなく現金での投資を求めており、これに対応するため韓国政府は通貨スワップのカードを切ろうとしているようだ。
韓国政府の通商当局によると、先月末時点での韓国のドル保有額は4163億ドル(約62兆5200億円)で、3500億ドルはその84%に相当する。現実的にこの金額のドルを現金で調達するのは不可能だ。韓国大統領府の金容範(キム・ヨンボム)政策室長は9日の放送記者クラブでの討論会で「(米国の要求に応じるには)3500億ドルを外国為替市場で調達しなければならないが、韓国が1年で200-300億ドル(約30-44兆円)以上を調達するのは難しい」と明らかにした。市場で大量のウォンを使ってドルを購入した場合、ドルに対するウォンの価値が急落し外国為替市場が崩壊する恐れがある。
スワップが締結されれば外国為替市場が安定する可能性が高い。2008年のリーマンショックや2020年のコロナ禍当時も韓米間で通貨スワップが締結され、ウォンの暴落を防いだ経緯がある。ただし米国が非基軸通貨国の韓国と無制限スワップを受け入れるかは未知数だ。
金智燮(キム・ジソプ)記者